《大肉球曼荼羅 第1章⑪ マザー・ダーニャ》
お久しぶりです。すっかり秋の気配、ようやく更新できました。
今回の台風の被害にあわれた地域の、いち早くの復興を願います。
今年は、イレギュラーな事ばかりが起こり、生活観や常識が覆されていく年です。
これから先も、様々な事に直面します。変化に惑わされずに振り回されずに過ごせたらと思います。
さて、今回で、第1章が終わります。どうなるのかお楽しみにです。
画像の作品タイトルは「一緒に行きませんか?」
今年の二人展の猫沢さん作品、猫の星へ案内してくれる、そんな雰囲気です。
《大肉球曼荼羅 第1章⑪ マザー・ダーニャ》
カンタスカラーナの長(おさ)に会った3人は、再びマンタに乗り込み、帰路に向かいます。
さすがに、疲れてしまったのか、彼等はウトウト…やがて夢の世界へ…
「空(くう)ちゃん、風(ふう)ちゃん、着きましたよ」
優しい声が、二人を呼び起こします。
夢から覚めた猫沢さんは、ボヤンとしたまま、辺りを見渡すと
ここは、森の入り口のマシン置き場…
シンと静まった暗闇に、ランタンに火を灯した猫庭博士が、ちいさなテーブルと椅子を用意して待っていました。
「あ…猫庭博士…もう、着いたのですか?」
「はい、少しお休みしてから行きますか?温かいコフィーがありますよ」
注がれたカップを受けとると、
「猫庭博士…私は、夢を見ているようです。長は…溢れんばかりの光を私達に向け、語りかけてくれました…」
「それが長の想いです。私達は、この星に守られ生きているのですから…」
「私は長と別れた後、夢の中の虚空庭園に行っていたのです。そこに女神マザー・ダーニャの姿があり、彼女は美しい竪琴の調べを奏でていました…」
「竪琴ですか、どんな音色でしたか?」
「なんとも穏やかで、美しいメロディでした。ただ美しいだけではなく、奥底から湧き出る強さのような……あ!」
猫沢さんは、ハッとし、慌てて端末を取り出し夢の中で聴いたメロディーを、忘れぬうちにとLaLaLaLa~とハミングで記録しはじめました。
「素敵なメロディーですね」
猫庭博士は、ニッコリして、コフィーのお供のクッキーを手渡します。
猫沢さんのハミングで、ようやく目覚めた風さんは、マンタの背中に乗ったまま、辺りを見渡します。
「あ、兄さん、もうすぐしたら家に帰るよ、マシンに乗って待ってて」
「ほへ!?あいわかった」
そう言うと、モソモソとマンタから下り、寝ぼけ眼でコフィーとクッキーを受けとると、マシンに乗り込みました。
「久しぶりの長旅で疲れたんでしょう」
猫庭博士は、そう言うと、ゆっくりと椅子から立ち上がり、二人を乗せてきたマンタ達に、深くお礼をし見送ると、猫沢さんに、母なるカンタスカラーナからのメッセージが入った、1つの小型チップを手渡しました。
「幸い私達は、テラ滞在のお陰で、これしきの移動は大した事ではないですがね…猫庭博士、今日は1日ありがとうございました」
「こちらこそ、帰ったら、ゆっくりとお休みください」
猫庭博士は、二人を乗せたマシンが、見えなくなるまで見送ると、再びマンタに乗り込み、深き森に吸い込まれていきました。
帰宅した猫沢さんは、風さんを自宅に送り届けると、研究所の一室に直行、待っていた助手マシン猫、Σ-41に2つの小型チップを渡します。
「おかえりなさい。猫居博士からのメッセージが届いています」
「ありがとう、2時間後に起こしてくれ」
「承知いたしました。その間に、チップを解析しておきます」
「頼んだよ」
「おやすみなさいませ」
仮眠室の扉が閉まると、Σ-41は研究室へ向かい、チップのセキュリティロックを外すと静かに耳の下の差し込み口にセットしました。
彼の頭脳部には、簡易解析システムが搭載されており、地球での調査の時も大活躍でした。もちろん、地球製の物質的データ等を解析するには、カンタスカラーナ製の特殊なアダプターを経由しています。
もう一体の小型飛行マシン猫ΣS-8は、羅針盤として働き、迷うこと事なく目的地に辿り着ける優秀なマシンでもあります。
彼らの活躍で、1回目の一人きりの地球調査&イクサフィーゴ捜索は、難なくこなせていたと言う事は、あまり知られていません。
猫沢さんは、猫居博士のメッセージを確認すると、再び夢の中へ…そして、カンタスカラーナの猫の民達の潜在意識の世界とも言える、膨大なデータが保管されている意識界「虚空庭園」へ入っていきました。
[第1章 おわり]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展「出会いと旅立ち」を開催しました。来年も開催決定しました。よろしくお願いいたします。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)
0コメント