《大肉球曼荼羅 第2章② 謎の曼荼羅の板》

すっかり秋の気配、涼しくなって過ごしやすくなってきました。

9月26日~10月4日、茨城県の大洗町にて行われる企画展示に参加させていただきます。スタンプラリーも開催されているそうですので、参加ついでにお立ち寄りください。
お待ちしております。

画像は、2013年制作の「マザー・ダーニャ」です。
懐かしい一枚。

では、続きをお楽しみください。

《大肉球曼荼羅 第2章② 謎の曼荼羅の板》

猫沢さんは、早朝の研究室で黙々と作業を進めています。

ダーニャのメロディーの断片を、思い出しつつ再現しながら、譜面を起こしていました。
忘れないうちにと急いでいるのです。「虚空庭園」には、機械は持ち込めません。記憶が頼り…

頑張れ猫沢さん!

彼の研究分野は、周波数等、聞こえる音から聞こえない音、感じる振動から感じない振動、個々の物体から放たれるエネルギーや、非物質から放たれるエネルギー等、様々な物や空間を、他の猫達とは全く違う視点や観点で研究しています。

そうそう、猫居博士からのメッセージには、研究音源発表会の会場手配完了の知らせと「橋渡しの民」についての情報でした。現在、調査迷走中との事、何せ彼らは、地球の「橋渡しの民」同様、覚醒、未覚醒問わず普通に生活圏内に溶け込んで生きているのですから…

「所長、おはようございます」

朝日が昇る頃、新人の三毛野君が、1番のりで出勤してきました。

まだ、猫沢さんの詳しい研究内容を、あまり知らない彼は、あまり見かけない妙な機械や、鳥のような魚のような生き物達に囲まれた所長席に座る猫沢さんを、呆然として見ていました。

「タテゴトウオ!!なんで、ここにいるんですか!!?」
「よく知っているね。これはね、こうすると音が鳴るんだよ」
そう言って、尾を丸めたタテゴトウオを弾きました。

不思議な音が響きます。

「そう言えば三毛野くん、君の友達がロドニアの歌を聴いて、おかしくなったと言っていたね?」
「は…はい…」
「カスパチョー地区にある「猫宮診療所」に連れて行きなさい。私の一番弟子がいる」
「でも…友達は、ロドニア関連以外は家に閉じ籠りっきりで…連れていくなんて無理です…」
「…そうか…じゃあ」

そう言うと、猫沢さんは、棚にある小さな機械を取り出しました。

「友達の自宅の周りの目立たない場所に、これを置いておきなさい。微弱だが特殊な波が出る装置だ。気休めにしかならないかもしれないが、何らかの変化はあるだろう…」
「い、いいんですか?」
「あぁ、善は急げだ、行ってあげなさい。あ、仕事として経過報告はしてくれよ」
「りょ、了解しました!ありがとうございます!」

三毛野くんは、目を潤ませ、一目散に友達の家に向かって行きました。それを見ていたΣ-41が、心配そうに…

「猫沢博士、良いのですか?大切な機械では?」
「三毛野くんの心に濁りはなかったよ。大丈夫さ」

三毛野くんは、今年入ったばかりの研究員、最初は別分野を研究していたのですが、友達の事がきっかけで進路を急変更、何とかしたくて手探りで、よく解らないまま「あそこの所長さんに相談してみたら?」と言う言葉のもと、猫沢さんの研究所にたどり着いたのです。その頃、ちょうど、所長不在、受け入れた側も詳しい理由等も、イマイチ解らないまま過ごしていたのです。

「よっちゃん(Σ-41)」
「はい」
「虚空庭園で会ったテラビトに楽器らしきものを貰ったんだが…イマイチ使い方が解らないんだ…取説貰ったんだが、こちらに持ってこれなかったらしい…」

猫沢さんは、眉毛をハの字にして腕組みをしてます。

「どんな楽器ですか?」
「曼荼羅模様の板」
「どこにあるのですか?」
「この中」

猫沢さんは、自分の肉球の指差します。

「…??」

Σ-41は、はてな顔です。それを見ていたΣS-8(はっちゃん)が、猫沢さんの肉球の上にチョコンと乗りますと、

「あれ?いつもと違う波が出てるよ、これ、博士の波じゃないね」
「違う??私ではない波?ちょっと調べてみる」

「波」とは、物質や非物質の発する振動の事です。
猫沢さんは、あらゆるものに「波」があると言います。小さな光の粒が高速回転し形を創っていると、それを脳が情報として捉え脳内のスクリーンに映し出すのです。

「私の手は一体どうなってしまったんだ?」

[つづく]

  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展「出会いと旅立ち」を開催しました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。

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※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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