星を繋ぐ猫達 [第8章① 秋祭りと開かずの蔵]
ここから、新章に突入します。新たな展開を、お楽しみください。
なお、ここにアップされている作品の画像のポストカードは、高円寺の猫の額さんで、いつでも、購入可能です。(一部ない絵柄もございます)
画像は、サリーちゃんと寅次郎博士です。
※今回の作品画像は、即興で描かれたものですので、ポストカードはありません。ご了承ください。(お目汚し失礼いたしました)
では、物語をお楽しみください。
《第8章① 秋祭りと開かずの蔵 》
秋、寅次郎博士の住む村では、お祭りの準備が行われていました。昔からある土地の神様に、農作物の収穫に感謝する、お祭りです。
昨今の、お祭りは本来の姿を消して、すっかりエンターテイメント化していたり、過疎化に伴い、廃れてなくなってしまったものもあります。時代の流れと言うのは、時として残酷でもあります。
神社の隣の公民館の外では、火水斗(ひみと)と、サリーが、昔ながらの石臼と杵で、餅つきをしていました。お宮の屋根から餅投げをする為。
さすが、元格闘家の二人の餅つきスピードは桁外れ、村人達は、惚れ惚れと眺めつつ、つき上がった餅を、村の婦人会の女性達が、次々と丸めていき、そして、寅次郎博士達のグループは、釜の火で、餅米を蒸しています。
3人は、餅つき班のメンバーに抜擢されているのです。
神社の倉庫からは、立派な神輿が出され、メンテナンスされ輝きを増していました。
「懐かしいなぁ…子供の頃を思い出す…」
餅つきが終わり、休憩中のサリー、春に越してきたばかりの彼女(彼)にとって、初めての村の祭りです。
寅次郎博士が、隣で、つきたての餅に、きな粉をまぶして 渡すと、一気に頬張ります。
「んまっ!」
お腹がすいていたのか、皿に10個程あった、きな粉餅を、一気に平らげてしまいました。
呆気に取られた寅次郎博士は、自分の分が、なくなってしまい、シュンとしながらも…
「そう言えば、サリーちゃんは、お盆に、田舎に帰らなかったね…?」
「…帰れないんです…」
「ご両親は、今の姿を知ってるのかね?」
「……」
サリーは、しばらく沈黙すると、うつむき、両手で顔をおおいました。
「いつか、君の事を理解してくれる日が来るだろう…ご両親が元気なうちに必ず、会いに行きなさい…」
寅次郎博士は、それ以上、何も言わず、もう一皿、お餅を持ってきました。次は、おろし大根と醤油が、かけられています。
「食べたら、戻っておいで[開かずの蔵]にいるからね」
寅次郎博士は、神輿の発掘作業に向かいました。なんでも「開かずの蔵」から、ものすごい古い時代の、神輿が見つかり、村人達が総出で作業をしているのです。
かれこれ、百年以上開けられていないのでは?と、蔵にしまってあった、様々な祭りの道具や帳面が出てきて、大騒ぎしているのです。
そこには、見た事もない書物や、写真がわんさか…寅次郎博士の隣で作業していた、指揮を取る、昔、考古学者だったと言う、村人の一人が「とうとう見つけた…」と、 目を輝かせ、小さな声で呟いているのを、寅次郎博士は、聞き逃してはいませんでした。
この村は、一体…?
寅次郎博士の脳裏に、ある人物の姿が、かすめました。
そう、彼の蕎麦打ちの師匠であり[橋渡しの民]のチームメンバー「故・神楽未知太郎(かぐらみちたろう)」です。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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