星を繋ぐ猫達 《第8章⑥ 村の過去と時空の歪み》

お久しぶりの更新です。お待たせいたしました。

イベント出展の作品を製作していまして、更新が遅れてしまいました。

出展のお知らせは、後程…

では、お楽しみください。

画像は、2016年製作の作品「星を繋ぐ猫達」ジャッコ博士、チャット博士、猫沢さん、Σ-41&ΣS-8です。


《第8章 村の過去と時空の歪み》

神楽屋に到着した寅次郎博士達は、看板に取り付けられた、不思議な模様の金属盤を見つめました。

なんと、ミチタロウは、店のロゴマークとして使っていたのです。

「間違いない…君達が受け取った物と、同じ模様だ…」

ちょうど円形のお盆のような形の中に描かれた模様と、この上にピッタリ収まるサイズの金属盤パーツ…

その時、丁度、ミチタロウの孫の火水斗(ひみと)が、店から出てきました。

「あれ?寅ちゃん、早いな。まだ、ゆっくりしてても良いんだぜ。宴会の準備は、ほとんど出来てるし…」

「ありがとう。ちょっと大切な用事を思い出して、急いで来たんだ」

「大切な用事?」

「お願いがあるんだが…」

「なんだい?」

「あの看板にかかっている金属盤を、外してくれないか?」

「?なんで?」

「あのノートに、師匠の伝言があったんだよ。外すようにって」

「ふ~ん、あのノートって、ヘンテコな文字で書いてある方のノートか?」

「あぁ」

「あのノートって、一体何が書いてあるんだよ??」

「師匠から私への伝言と言うか、遺言みたいなものだよ。あれを外して別の場所に取り付けろと書いてあったんだ」

「へ~?どこに?」

火水斗は、驚きならがらも、ひょい。と、取り外し、寅次郎博士に、渡しました。

「ありがとう。君には、後から詳しく説明するよ」

「!?」

寅次郎博士は、キョトンとする火水斗から、受けとると鞄の中に入れ、店に入りました。神楽屋の従業員達が、大広間に御馳走をならべています。 
「お、今年も凄いな、豪華じゃないか」

寅次郎博士が、厨房に入っていきますと、割烹着姿のサリーが、盛り付けや配膳を手伝っていました。

「あ!寅次郎せんせー!」

サリーは、笑顔で迎えます。

「サリーちゃん、宴会が終わったら、うちに寄ってくれないか?」

「はーい!いいですよ!」

そう言うと、すぐさま、料理を運んでいきました。 

そして、寅次郎博士が、再び、店の外に出ていくと、地球猫姿の猫沢さん達が、行儀よく待っていました。

「猫沢くん、もうすぐ村人達が来る。 宴会中は、君達は、この姿では店には入れない、いつもの姿で気配を消して入ってくれ」

「分かりました」

いつもの姿に戻った猫沢さん達は、周波数チャンネルをカチリと切り替えて、店内に入りました。料理の良い匂いに、鼻をクンクンさせています。

周波数チャンネル切り替えと言うのは、人の網膜を伝い、脳で認識出来る周波数から、認識出来ないようにする事、例えるなら、テレビやラジオの電波の周波数を変えるような仕組みです。

地球人から見たら、彼等の姿は、透明人間のようになり肉眼では見えません。稀に、感覚の鋭い地球人なら、チラッと見える可能性も、なきにしもあらず…。

猫沢さん達は、自在に使い分ける事が出来るのです。

寅次郎博士は、宴会の座敷には行かず、椅子に腰掛け、出されたお茶をすすっていました。

(寅次郎博士、彼は来るんですか?)

(あぁ、来るだろう。待っていなさい)

猫沢さん達は、テレパシーで会話をしつつ、店の中を探検しています。

支度を終えたサリーが、割烹着を、たたみながら近づいてきました。

「寅次郎せんせー、猫沢博士達も、ご一緒なんですね。何かあったんですか?」

「あぁ、遂に任務を実行する時が来たよ。これで、この村の時空の歪みが整う…」

「時空の歪み…?」

「…ここでは、この話はやめておこう。後で報告するよ。とりあえず、今日は、お疲れさん!」

サリーは、ハッとし、周りをキョロキョロしました。

「あ!お疲れ様でした。お祭り、楽しかったです!」

サリーは、寅次郎博士と同郷[橋渡しの民]のメンバー、彼女は、寅次郎博士達の欠けたメンバーの助っ人として、この村にやって来ました。通常なら本来のチームでの任務に携わる予定でしたが、一緒に降り立った筈のメンバー達は、記憶を戻す事もなく、未だ、現地(地球)で、落ち合えないままなのです…

一番のりで覚醒してしまった彼女は、たいへん困惑し戸惑いなからも、なにかしらを頼りに、この村に辿り着き、寅次郎博士達の、任務遂行を手伝う事にしたのです。

しばらくして、店の戸が開きました。 

「やぁ、まっつぁん、お疲れさん」

「ふん」

彼は、寅次郎博士の方を、チラリとも見ず、座敷に向かって行ってしまいました。

(無愛想ですね?)

猫沢さんは、怪訝な表情で、寅次郎博士に、話し掛けます。

(彼は、この村の権力者の一人だよ)

(権力者?)

(最初に、山を切り開いて村を作った家系の人間だよ)

(だから、あんなに威張ってるんですね…)

猫沢さんは、気になるのか、彼の周りを観察していました。もちろん彼には見えません。

店先が、急ににぎやかになりました。続々と村人達が、到着します。 

(つづく)

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)         

個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

0コメント

  • 1000 / 1000