《大肉球曼荼羅 第3章③ニャパール音源》

すっかり日も短くなり冬の気配、今年は、11月だと言うの妙に暖かく、12月からの気温予想はビックリするような低さ、極端過ぎて変ですよね。

久しぶりの更新となりました。
事後報告となってしまいますが、2022年9月、愛知県瀬戸市にて、3年ぶりの招き猫まつりが開催されました。久々の100人展出展とアートマーケット参加は、とても楽しかったです。画像は、100人展の作品[薬師如来猫チベットバージョン]チベットの薬師如来は、瑠璃色のボディをしています。左には観音菩薩、右には弥勒菩薩を描いています。

長らくお待たせしていました。物語の続きをお楽しみ下さい。

《大肉球曼荼羅 第3章③ニャパール音源》

猫沢さんは、猫宮氏から受け取ったドクター・クロウのデータを隅々まで熟知した後、今までにない新たな音源を創り上げました。

彼の研究発表を心待ちにしている猫達の大半は、ロドニア達が広めた根も葉もない噂や狂言に気づいている者も多く、その反面、その言葉を、すっかり信じ込み離れていった猫達もいたようです。

ここは、花音さんのレストラン[ハナハナ]の2階
猫沢さんと猫谷エンジニアは、ランチ中

「ドクター・クロウ?お前と同じ世界の学者だろ?昔、相当問題起こしたって言う、、」

猫谷エンジニアは、宇宙海スープの中の宇宙海老の殻を剥き、豪快に口に運びます。

「そうそう、ロドニアのバックにドクター・クロウがいた事が分かったよ」

猫沢さんは、ナッツメック星産の茸スープにパニャーンを浸し、美味しそうに口に運びます。

「なぜ分かったんだ?」
「猫宮くんのお陰さ」
「へー彼は確か、弟子だったっけな?」
「今はね、昔はドクター・クロウの弟子だったんだ」
「それは知らなかった!」
「私がクロウから引き離して連れてきたんだよ」
「強引だな」
「あの時、彼を連れてこなければ凶悪犯になっていた。彼のクロウへの忠誠心の洗脳を解くのは安易ではなかったよ」

猫沢さんは、何食わぬ顔でサラリと怖い事を言うと、野菜たっぷりのサラダを美味しそうに食べています。、

「猫宮くんが、彼の資料を貸してくれたお陰で準備がはかどったんだ。クロウ本人が存在するかは不確かだけど、ヤツはロドニアの曲の中に居る」

猫沢さんは、好物の紫ミーツのコロッケを頬張ると

「でさ、新しい音源が出来たから、後で聴いてくれる?」
「ニャパールか!?」
「そう、ニャパール音源」

猫沢さんの言う[ニャパール音源]と言うのは、ただの楽曲ではありません、きめ細かく織り込んだ特殊な[波]の集合音源

「ロドニアが、どんなプログラムで撃ってくるか分からないけれど、同じ時間帯に異なる[波]がぶつかり合い、大きなエネルギーが動く、その時、猫達の呪詛が解ける、、その[波]をニャパールに仕込んでみたんだ、もちろん、他の音源にも強弱をつけて入れてある」
「無効化か」
「そう、うまくいくと良いけれどね」
「心底ロドニアの心に共鳴している猫達にとっては、通じないかもな」
「そうかもね、、でも、何もしなかったらカルカナルの思う壺、イクサフィーゴは助からない。私の目的はロドニアの後ろにいるカルカナルの亡霊を打ち砕き、さ迷う彼等を[虹の星]へ送り込む事、、」
「カルカナルに乗っ取られた一族の事か、彼等は元々、歌や躍りを好む猫族だったらしいな」
「あぁ、元の姿に戻せるなら戻してやりたい、、、」

猫沢さんは、浸し過ぎて溶けたパニャーンを、スプーンですくいながら、二階の窓から見える、向かえのアンニャミラーカフェを眺めていました。連日、多くの猫達で繁盛している影に映るカルカナルの姿に、一瞬、怒りにも似た表情を現しました。

「あ、そうそう、死装束送り付けた犯人分かったぞ」

猫谷エンジニアが、そう言うと、猫沢さんはハッとした表情で見つめます。

「子猫だったよ」
「子猫!?」
「子猫と言っても、ちょっと大きいかな?ロドニアのファンと言うか、お前のファンでもあるよ」
「私の?で、捕まえたのか?」
「いや、二人組で、その1人が出頭してきたんだよ」
「その子は、今、どうしてる?」
「こちらの施設で保護している」

そう言うと、犯人の画像を見せました。

「あれ?この少女」
「そうだよ、虚空庭園で会っただろ?」
「ああ、、私を見て凄い勢いで謝ってきた子だ、、」
「ロドニアファンの友達に芝居用の衣装を頼まれて作り、後から本当の事を知って止めようとして巻き込まれたらしい、危険を感じて駆け込んで来たって言うのが正しいな、ファン達は、お前の音楽を[心を壊す恐ろしい音源が使われてる]と吹き込まれて、すっかり信じてるそうだ」
「それはアクアさんから聞いている、彼女が完全にロドニアの暗示にかかってなくて安心したよ。芝居衣装か、、あの服に悪意が全く感じなかったのは、そう言う事だったのか」
「何で分かるんだ?」
「これだよ、触れた物や空間の「波」の状態が分かるんだ」

猫沢さんは、空間を撫でるとポーンと柔らかい音が広がります。対象物や空間に触れると[波]を感知して音として現れます。猫谷エンジニアは、なるほど!と肉球をポンと叩きました。

「皆を壊すのは、ロドニアの音楽の方さ、、、」

猫沢さんは、持っていたナプキンを捻り潰しました。

「猫沢、ひょっとして恨まれるんじゃないか?」
「、、、」

身に覚えがない訳ではない事に気がついた猫沢さん、愛弟子を奪われたドクター・クロウの恨みを受けていたのかもしれないと、、果たして、それだけなのでしょうか、、、?!

「あ、そうそう、猫谷、これ覚えてる?」

猫沢さんは、小さなディスクを取り出し端末にセットすると、古いブラウン管画像に、古めかしいカルカナル社のロゴが現れ、軽快な音楽と共に歌う猫達の姿が映し出されました。

「懐かしいな!」

猫谷エンジニアは、懐かしいメロディーに思わず体を揺らします。

「カルカナル社のCMソング、私は正直この曲が好きではなかった」
「俺は好きだった。あの頃、なぜカルカナル社が突然消えてしまったのか全く分からなかった」
「そうだね。分からないままの方が幸せだったかもしれないね」

猫沢さんは、ちょっと意地悪な表情で言うと、

「知ったからこそ、今ここに居るんだよ」

猫谷エンジニアは猫沢さんより少し年下で、カルカナル末期の時代を少しだけ覚えています。当時は、ほんの小さな子猫で好物のカルカナル社の駄菓子が販売中止になり泣きわめいていた頃を、ちょっと思い出していました。
成長し警察学校に行き始めた頃、カルカナルの本当の事を知ったのです。その後、様々な特殊訓練を受け、一般猫に紛れ、カンタスカラーナ宇宙空港のエンジニアとしてカモフラージュ在籍し、極秘の任務を遂行する猫なのです。

「ドクター・クロウは、カルカナル社にいたシャドウ・クロウの作った楽曲データを持っていたんだよ」
「シャドウ・クロウ?はじめて聞く名だ、ドクター・クロウは、シャドウ・クロウなのか?」
「どうやら違うらしい」
研究発表会は2か月後
ドクター・クロウ、生きているのか、いないのか、多くの謎と共にカルカナルの亡霊が猫の星を包み込みます。

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたしました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。
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※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

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