福ねこ屋.猫絵師ちさと

ご訪問ありがとうございます。猫絵作家の『ちさと』です。岐阜を中心に作品展やイベント参加しています。

2004年より、ギャラリーディマーシュにて初個展と同時に本格的に猫作家として活動を開始

地元数店のお店にポストカード等委託開始

毎年、数回の個展や、グループ展を地元ギャラリーにて参加や開催

だいたい毎年、名古屋クリエイターズマーケット出展

岐阜県多治見市の酒蔵「三千盛」蔵開きイベントにて、ライブペイント

岐阜県東白川村「森の美術展」出展(屋外、森林にて展示)

2011年、2012年 愛知県瀬戸

記事一覧(153)

《大肉球曼荼羅 第3章③ニャパール音源》

すっかり日も短くなり冬の気配、今年は、11月だと言うの妙に暖かく、12月からの気温予想はビックリするような低さ、極端過ぎて変ですよね。久しぶりの更新となりました。事後報告となってしまいますが、2022年9月、愛知県瀬戸市にて、3年ぶりの招き猫まつりが開催されました。久々の100人展出展とアートマーケット参加は、とても楽しかったです。画像は、100人展の作品[薬師如来猫チベットバージョン]チベットの薬師如来は、瑠璃色のボディをしています。左には観音菩薩、右には弥勒菩薩を描いています。長らくお待たせしていました。物語の続きをお楽しみ下さい。《大肉球曼荼羅 第3章③ニャパール音源》猫沢さんは、猫宮氏から受け取ったドクター・クロウのデータを隅々まで熟知した後、今までにない新たな音源を創り上げました。彼の研究発表を心待ちにしている猫達の大半は、ロドニア達が広めた根も葉もない噂や狂言に気づいている者も多く、その反面、その言葉を、すっかり信じ込み離れていった猫達もいたようです。ここは、花音さんのレストラン[ハナハナ]の2階猫沢さんと猫谷エンジニアは、ランチ中「ドクター・クロウ?お前と同じ世界の学者だろ?昔、相当問題起こしたって言う、、」猫谷エンジニアは、宇宙海スープの中の宇宙海老の殻を剥き、豪快に口に運びます。「そうそう、ロドニアのバックにドクター・クロウがいた事が分かったよ」猫沢さんは、ナッツメック星産の茸スープにパニャーンを浸し、美味しそうに口に運びます。「なぜ分かったんだ?」「猫宮くんのお陰さ」「へー彼は確か、弟子だったっけな?」「今はね、昔はドクター・クロウの弟子だったんだ」「それは知らなかった!」「私がクロウから引き離して連れてきたんだよ」「強引だな」「あの時、彼を連れてこなければ凶悪犯になっていた。彼のクロウへの忠誠心の洗脳を解くのは安易ではなかったよ」猫沢さんは、何食わぬ顔でサラリと怖い事を言うと、野菜たっぷりのサラダを美味しそうに食べています。、「猫宮くんが、彼の資料を貸してくれたお陰で準備がはかどったんだ。クロウ本人が存在するかは不確かだけど、ヤツはロドニアの曲の中に居る」猫沢さんは、好物の紫ミーツのコロッケを頬張ると「でさ、新しい音源が出来たから、後で聴いてくれる?」「ニャパールか!?」「そう、ニャパール音源」猫沢さんの言う[ニャパール音源]と言うのは、ただの楽曲ではありません、きめ細かく織り込んだ特殊な[波]の集合音源「ロドニアが、どんなプログラムで撃ってくるか分からないけれど、同じ時間帯に異なる[波]がぶつかり合い、大きなエネルギーが動く、その時、猫達の呪詛が解ける、、その[波]をニャパールに仕込んでみたんだ、もちろん、他の音源にも強弱をつけて入れてある」「無効化か」「そう、うまくいくと良いけれどね」「心底ロドニアの心に共鳴している猫達にとっては、通じないかもな」「そうかもね、、でも、何もしなかったらカルカナルの思う壺、イクサフィーゴは助からない。私の目的はロドニアの後ろにいるカルカナルの亡霊を打ち砕き、さ迷う彼等を[虹の星]へ送り込む事、、」「カルカナルに乗っ取られた一族の事か、彼等は元々、歌や躍りを好む猫族だったらしいな」「あぁ、元の姿に戻せるなら戻してやりたい、、、」猫沢さんは、浸し過ぎて溶けたパニャーンを、スプーンですくいながら、二階の窓から見える、向かえのアンニャミラーカフェを眺めていました。連日、多くの猫達で繁盛している影に映るカルカナルの姿に、一瞬、怒りにも似た表情を現しました。「あ、そうそう、死装束送り付けた犯人分かったぞ」猫谷エンジニアが、そう言うと、猫沢さんはハッとした表情で見つめます。「子猫だったよ」「子猫!?」「子猫と言っても、ちょっと大きいかな?ロドニアのファンと言うか、お前のファンでもあるよ」「私の?で、捕まえたのか?」「いや、二人組で、その1人が出頭してきたんだよ」「その子は、今、どうしてる?」「こちらの施設で保護している」そう言うと、犯人の画像を見せました。「あれ?この少女」「そうだよ、虚空庭園で会っただろ?」「ああ、、私を見て凄い勢いで謝ってきた子だ、、」「ロドニアファンの友達に芝居用の衣装を頼まれて作り、後から本当の事を知って止めようとして巻き込まれたらしい、危険を感じて駆け込んで来たって言うのが正しいな、ファン達は、お前の音楽を[心を壊す恐ろしい音源が使われてる]と吹き込まれて、すっかり信じてるそうだ」「それはアクアさんから聞いている、彼女が完全にロドニアの暗示にかかってなくて安心したよ。芝居衣装か、、あの服に悪意が全く感じなかったのは、そう言う事だったのか」「何で分かるんだ?」「これだよ、触れた物や空間の「波」の状態が分かるんだ」猫沢さんは、空間を撫でるとポーンと柔らかい音が広がります。対象物や空間に触れると[波]を感知して音として現れます。猫谷エンジニアは、なるほど!と肉球をポンと叩きました。「皆を壊すのは、ロドニアの音楽の方さ、、、」猫沢さんは、持っていたナプキンを捻り潰しました。「猫沢、ひょっとして恨まれるんじゃないか?」「、、、」身に覚えがない訳ではない事に気がついた猫沢さん、愛弟子を奪われたドクター・クロウの恨みを受けていたのかもしれないと、、果たして、それだけなのでしょうか、、、?!「あ、そうそう、猫谷、これ覚えてる?」猫沢さんは、小さなディスクを取り出し端末にセットすると、古いブラウン管画像に、古めかしいカルカナル社のロゴが現れ、軽快な音楽と共に歌う猫達の姿が映し出されました。「懐かしいな!」猫谷エンジニアは、懐かしいメロディーに思わず体を揺らします。「カルカナル社のCMソング、私は正直この曲が好きではなかった」「俺は好きだった。あの頃、なぜカルカナル社が突然消えてしまったのか全く分からなかった」「そうだね。分からないままの方が幸せだったかもしれないね」猫沢さんは、ちょっと意地悪な表情で言うと、「知ったからこそ、今ここに居るんだよ」猫谷エンジニアは猫沢さんより少し年下で、カルカナル末期の時代を少しだけ覚えています。当時は、ほんの小さな子猫で好物のカルカナル社の駄菓子が販売中止になり泣きわめいていた頃を、ちょっと思い出していました。成長し警察学校に行き始めた頃、カルカナルの本当の事を知ったのです。その後、様々な特殊訓練を受け、一般猫に紛れ、カンタスカラーナ宇宙空港のエンジニアとしてカモフラージュ在籍し、極秘の任務を遂行する猫なのです。「ドクター・クロウは、カルカナル社にいたシャドウ・クロウの作った楽曲データを持っていたんだよ」「シャドウ・クロウ?はじめて聞く名だ、ドクター・クロウは、シャドウ・クロウなのか?」「どうやら違うらしい」研究発表会は2か月後ドクター・クロウ、生きているのか、いないのか、多くの謎と共にカルカナルの亡霊が猫の星を包み込みます。[つづく] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたしました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、こちらをクリック↓ ↓

《大肉球曼荼羅 第3章② シャドウ・クロウ》

更新の間が、随分と開いてしまいました。ようやく過ごしやすい季節がやって来ましたね。いかがお過ごしでしょうか、9月には、高円寺の猫の額さんにて、木元慶子さんとの二人展「宇宙(そら)の猫祭り」を開催させていただきました。ご来場&作品をお迎え下さいました方々、ありがとうございました。猫達のお祭りの場面を、スペースいっぱいに表現させていただきました。木元さんと在廊をご一緒させていただいたり、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。来年、2023年6月も、猫の額さんで二人展をしますので、お楽しみに!画像は、DM用作品「ニャーペル祭り」と二人展の模様です。お馴染みの猫沢さんのモーニング姿、お祭りの主役の猫の王様に扮しています。では、お待たせしていました、物語の続きをお楽しみ下さい。《大肉球曼荼羅 第3章②シャドウ・クロウ》今朝、猫宮氏から預かったファイルを研究所に持ち帰った猫沢さんは、早速、開いてみました。そこには、ドクター・クロウの楽曲のデータ、彼は元々音楽家だったのでしょうか?「なんと言う事だ…」ロドニアの楽曲の元になったであろうメロディーや、楽譜が次々と出てきました。しかし、これらの楽曲達には、あの嫌な[波]は入っていません。別のファイルに入っている音楽を再生すると、頭を締め付けるような不快な[波]が現れ音楽を止めてしまいました。「同じだ…同じパターンだ、、、これはテラ(地球)で日常的に使われている波に似ている!?」猫沢さんが、地球で採取したデータを再生してみますと、全くよく似たパターンが現れました。テラビト達はこの波を標準値として使っていたのです。猫沢さんは、その波に触れぬよう特殊な耳栓を使い地球滞在していたのです。他のクルー達は幸いな事に、その波を感じる事はなかった為、普通に過ごしていました。「思い出した…これはカルカナル社のコマーシャルソングのリズム…子猫の頃に町中に流れていた、、ドクター・クロウ、あんたは何を企んでいたんだ?」猫沢さんは、ロドニアの背後に現れた過去のライバルの姿と、子猫時代のトラウマがフラッシュバックし目眩を起こしましたが、気を取り直し資料に目を通し続け、耳と頭脳を酷使した疲労感が襲い始めた頃、ニャンコフィーを入れ休憩をする事に、一口飲んだ時、ふと地球にいる彼等の事を思い出しました。「寅次郎博士達に知らせなきゃ…」猫沢さんは、空間にメッセージを打ち込みますと、所長室の壁に文章が浮かび上がります。どんな仕組みになっているのか分かりませんが、猫伊博士が、猫沢さん達がテラに派遣された時に開発した通信端末なのです。それを、寅次郎博士の家に1つ置いてきたのです。星に帰還してからの事、ロドニアの事、ウトゥサの事、発表会の事、ハーオスさんの事、ドクター・クロウの事、、、一気に打ち込んだ後、送信ボタンを押すと文章は暗号化され、小さなワームホールに吸い込まれていきました。うまくいけば、地球時間ですと最短で1週間ほどでテラに到着します。猫沢さんは、やや冷めたニャンコフィーを口に運び、風さん特製のパニャーンをひとくちかじると、軽い睡魔の中に引き込まれていきました。何時間、椅子に腰かけたまま眠ってしまっていたのでしょう?目をこすりながら窓を見ると、すっかり日が暮れていました。「猫沢博士、お疲れのようですね。皆、帰宅しましたよ」Σ-41が、心配そうに言うと、静かにお茶を入れ手渡します。「起こしてくれれば良かったのに、、、」「連日の激務です、たまにはゆっくり休んでください」Σ-41は、室内で飛んでいたタテゴトウオを撫でると弦として使っている細いヒレを手入れしていました。手入れを怠ると良い音色が出ませんので、発表会の前は特に入念です。「よっちゃん(Σ-41)唐突だけど、君のデータ回路の中に、ドクター・クロウのデータはあるかな?カルカナルと一緒に調べてほしい」「ドクター・クロウ カルカナルですね、かしこまりました、お待ちください」Σ-41に搭載されているデータには、猫伊博士の先祖の猫伊虎之助博士や、カルカナルのデータが保存されています。その中に彼に関する情報がないか?と、ふと思ったのでした。「ドクター・クロウとシャドウ・クロウの記録が見つかりました」「シャドウ・クロウ?」「カルカナル社の専属プロデューサー、カリスマエンターテイナー、彼のプロデュースした商品はヒットし、熱狂的支持を受けていました」「音楽家ではないのか?」「総合的な役割の中に音楽があります」「ドクター・クロウは、シャドウ・クロウ?」「世代が違います。シャドウ・クロウはカルカナル崩壊と共に生涯を終えました」「カルカナル末期のCMソングの制作者は?」「シャドウ・クロウです」「ドクター・クロウは?」「科学者です、現在は消息不明です」「シャドウ・クロウに子孫は?」「弟子がいました」「弟子?」「弟子の名は、アルシュナです」「アルシュナか、、データはある?」「ありません、名前だけです」「もしかして、ドクター・クロウは弟子のアルシュナ?」「申し訳ありません、そこまではわかりません」「ありがとう、よっちゃん(Σ-41)」猫沢さんは、メモを書き留め、再び、ドクター・クロウのファイルを寝ぼけ眼で開こうとすると、何かを察知したΣ-41が、「博士!開いてはいけません!」「!?」クリックしようとしたファイルには、猫宮氏からの警告アラートが表示されていました。「危なかった、どういう事だ?」「博士、猫宮氏からの取り扱い説明書は読みましたか?」「読んでない」Σ-41は、やっぱり、と言う表情で小さな冊子上の説明書を渡しました。彼は、猫沢さんが猫宮氏から受け取った資料を一旦預かった時、万が一の事がないかとスキャンしていましたので、寸でのところで回避する事が出来たのです。仲間を疑う訳ではありませんが、猫宮氏は、ドクター・クロウの元弟子説明書を読む猫沢さんの表情を見て、安心したΣ-41は、「博士、今日は作業を一旦お休みしましょう、無理をしてはいけません」「そうだね、、どうやら私は、とんでもない物を受け取ってしまったようだ、、」猫沢さんは、受け取った資料を片付け鍵の付いた棚にしまい、研究所をあとにしました。[つづく] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたしました。来年も2023年開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ ↓

《大肉球曼荼羅 第3章① ドクター・クロウ》

暑い日が続きます、台風5号が発生したようですね。ここ数日、新しい章の構想を練っていました。この物語を綴りはじめた当初に登場した猫達が、再び活躍します。古くからの読者の方なら、あぁ、あの時にチラッと出てたネコさんだ!と、なると思います。続きをお楽しみください。画像は、東京.高円寺、猫の額さんにて開催の、9月の二人展のお知らせ&茨城県の大洗町大洗シーサイドステーションonly-shopさんで委託させていただいている模様です。ポストカード等を置いていただいています。お近くにお出掛けの際は、是非、お立ち寄りくださいませ。《大肉球曼荼羅 第3章①ドクター・クロウ》猫沢さんは、いつものようにイクサフィーゴの前で軽やかに奏でていると、猫沢さんの1番弟子、ドクター猫宮(ねこみや)氏が、やって来ました。「猫沢先生、お久しぶりです!」「あれ、どうしたの?元気してた?」猫沢さんは、演奏の手を止めトコトコと駆け寄ります。「元気は微妙です。最近、患者さんが減ってしまいましてねぇ…」「あー…やっぱり」猫沢さんは落胆した表情で、うつ向きました。昨今のバッシング騒動で、クルー達にも少なからず影響が出ているのです。「あのですね、先生がロドニアの曲を心底嫌っている理由が分かったんですよ」「なんだって?」「実は、あの曲の中の波」「うん」「私の元師匠のものでした、、」「何だって‼生きてるのか?」猫沢さんの顔色が変わりました。「分かりません、ただ、ロドニアの楽曲のメロディーは、ほとんどは彼によるもの…もしくは、彼を知る者…」ドクター猫宮氏は、彼は猫沢さんの1番弟子でありますが、以前は、ドクター・クロウと言う、猫沢さんと同業者でありライバルにあたる学者の弟子でした。ドクター・クロウは、猫達を狂わせる波を作り出しては問題を起こし要注意猫としてマークされていた為、危険を察知した猫沢さんは、猫宮氏を彼から引き離し連れてきたのです。現在の猫宮氏は、猫沢さんの技法を修得し独立、波を使った治療院を開院しドクターをしています。「猫爪光明(ねこつめこうみょう)…!?こいつがドクター・クロウなのか?」「分かりません、それは制作チームの名称で複数の猫達が手掛けているとも聞いています」「その中に、クロウの知識を持つものがいる…かもしれないと…?」「はい、生きていたとしても、こんな速さで次々と新曲を作り出す事は不可能だと思います。もう少し深く調べてみますね」「、、、、、、。」猫沢さんは、しばし言葉を失いボンヤリしていました。ドクター・クロウ、もう20年以上昔の出来事、彼が生きていれば人間年齢で言うと90歳をとうに越えているはず…彼の作ったものは、あの時、封じられたはず…「猫宮くん」「はい」「君は今でも、元師匠を尊敬しているか?」「、、、、はい、破壊的な性格には付いていけませんでしたが、師匠の創るものは、天才的で素晴らしかったです、悪用しなければ、、、」「あの頃のクロウは、既に猫であって猫ではなかった」「出会う以前から、猫ではありませんでしたよ」猫宮氏は、短期間でありましたが、彼の狂気と向かい合ってきた数少ない猫なのです。彼は、猫宮氏を正式破門して数ヵ月後、行方知れずとなり、姿を現す事はありませんでした。「あ、これ飲む?猫宮くんもアンニャミラーズのケーキ食べてるよね?」猫沢さんは、ナッツローズティーを紙コップに注ぎ、手渡しました。「はい、患者さんが差し入れで持ってきてくれるので、時々」「実はあれ、知ってるかもしれないが、有害な物が含まれているんだ」「ウトゥサですね、先生は昔、この物質で体を壊したと聞いています、どうなってしまうんですか?」「美味しいからと食べ続け量が増えていく、食べすぎると思考が鈍り倦怠感におそわれ、静かに体を壊していくんだ、いろいろ厄介だよ」「動けなくなる…どうりで」「私は、幸い、花音さんの食事療法で回復出来たけれど、ウトゥサの強烈な中毒症から抜け出すのは大変だったよ」「ロドニアカンパニーの専門家は、ウトゥサは安全な物と言っていました。先生の言っている事が本当なら、とんでもない事です」「私が子猫の頃までは普通に使われていたが、カルカナル社が撤退した時、ウトゥサは危険な物質として一切禁止された」「昔の猫達は大丈夫だったんですか?」猫宮氏は驚きます。「随分、長い間普通に使われていたから、あらゆる感覚が麻痺していたんだよ、その分、今よりも病気になる猫は多かったらしい、今は、薬品としての栽培と、ナッツメック星の民の為に栽培されているだけさ」「ナッツメックの民は平気なんですか?」「彼らは私達と体の構造が異なる、ウトゥサは、エネルギーになる大切な植物だよ。猫達にだって少量なら薬になる摂取量が増えれば毒さ」猫宮氏は、納得したよう、最近、妙に患者が多い事を気にかけていました。例えるなら、人間が安心して食べる事が出来る植物や果物が、他の生き物にとって有毒であったり、その逆もある。「このお茶は、ナッツローズティーと言ってナッツメック星の特産品だ、これは、ウトゥサの成分を高速分解し内臓に負担をかけず解毒できる、この味が苦手な猫には、花音(かのん)さんの店のトルソー饅頭をおすすめする。患者さん達に教えてあげてほしい、帰りに猫伊博士から受け取っていきなさい」「ありがとうございます!」しばしの時間、二人は楽しげに雑談を交わし、テラでの思出話に華を咲かせていました。猫宮氏は、お茶を飲み干すと、元気そうな猫沢さんを見て安心したのか帰り支度をし始めました。彼の護衛はマジシャンのような細身のカッコいいボディのロボットSP-777、懐に武器をたくさん仕込んでいるとの事。「もう帰るの、良かったら演奏聴いていきなさい」「発表会の内容知ってしまったら悲しいので帰ります!先生、楽しみにしてますね!」猫宮氏を見送った後、猫沢さんは、彼が何かの役に経つかもと置いていった荷物の箱を開けてみました。驚いた事に、ドクター・クロウに関する封印ファイル、大切に保管していたであろう年季の入ったケースには、師弟お互い信頼していたであろう痕跡が消されていました。彼が、猫沢さんに託した意味とは、、、?[つづく] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

《大肉球曼荼羅 第2章⑰スダチとアンズ》

猛暑日から一転、台風が近づいている今日この頃、久々の過ごしやすい気温です。画像は、茨城県の大洗シーサイドステーション2Fにある、どうぶつ雑貨店only-shopさんで委託させていただいている様子です。コーナー作ってくださいました!ブログ小説でお馴染みの猫沢さん達の、お求め易いミニ原画やポストカード、ラミネートミニポスター等を置いて頂いております。お近くにお越しの際は、是非、お立ち寄りくださいませ。そして、9月の二人展のお知らせです。では、物語の続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑰スダチとアンズ》「スダチちゃん、警察行こう、そして謝ろう」「う、、うん、でもう…もう一人の子が…」「その子も連れていこう」「無理だよ…」連れの少女アンズは、何かに巻き込まれた事を察知しつつ腕組みをし考え込みました。彼女は別段、猫沢ファンでもロドニアファンでもない、どちらかと言えばハーオスファン。彼が演奏する公園で偶然仲良くなったお友達なのです。彼女達は、いわゆる音楽を愛する猫達、彼女らのネットワークは独自に構築され愛好家同士の交流など、スマホのような小型通信端末を通じてやり取りされているため様々な情報が入ってきます。ここ最近、ロドニアのファン達の、猫沢さんへの強烈なバッシング行動が問題視され、警察も動いていると言う噂が拡がり音楽ファン達の間で物議が醸し出されています。分離し対立した形である事は言うまでもありません、、少女の1人、スダチは、猫沢ファンでもあり、ロドニアファンであり、ハーオスファン、どのファン達との交遊もあり、はたまた一般猫達との板挟みとなり、時折、心ない言葉を浴びてしまいます。そのそうな荒れた様子を、猫沢さんは、知らないはずもなく、かと言って、その渦中に入り民衆猫達を前に本当の事を語ったところで石が飛んでくる勢い、何か方法はないかと模索しつつ、静かに見つめています。その頃、虚空庭園では…「やっぱり兄さんの作るパニャーンは美味しいなー」猫沢さんは、鼻歌交じりで頬張ります。「空(くう) ここに来て大丈夫なのか?狙われてるんだろ?」風さんは、少々心配そう「SP-8888(フォーエイト)のお陰で誰も近づいてこない、と言うか気づかれない、皆は私を彼のマネージャーか何かと勘違いしてるよ」「なるほど、星の猫の大半はお前を批判している、異常なくらいね」「異常だよ…毎日、街中はロドニアフィーバー、どれもこれも巧妙な仕掛け過ぎて誰も気づかない。でもね、どうって事ないよ」不思議と余裕の表情の猫沢さん「波(周波数)」を知り尽くした先に見えるロドニアの戦略は、彼にとって、さほど難しいものではないと…?気になるのは、さっきの少女、あり得ない表情で走り去っていた姿、「SP-8888(フォーエイト)」「はい」「さっきの少女達の事、調べてくれないか?」「御意、私の記憶画像データを署に転送し解析します」「たのみます」「そう言えば、Σ達は一緒じゃないんだな?」いつものカワイイ相棒達がいない違和感に、風さんは戸惑います。「SP-8888がいる時は、Σ達は研究所で仕事してる、発表会の準備が進んで助かってるよ。タテゴトウオはΣ達が大好きでね、遊んでくれて喜んでるよ」「今度連れておいでよ」「いいよ、あれ?これは何?」猫沢さんは、小さなフライヤーに気づきました。「あぁ、これはミニライブのお知らせだよ、ハーオスって猫なんだが知ってるか?」「ハーオスって、あのハーオス!?」「あぁ、見に来る?」猫沢さんは、大きく縦に頷きました。意外なところで繋がる事に驚く猫沢さん、まさか、彼が常連だったなんてと、「兄さん、あのさ、ハーオスさんて、ケイオスさんに似てるよね。こないだ初めて彼を見た時、ビックリしたんだよ!」「そうだったのか、私は、ケイオスさんと会っていた頃の記憶が乏しくてね…あの時、一緒に戦った記憶はあるんだが…彼の顔も音楽もほとんど覚えちゃいない。ただ、ハーオスさんの音楽は不思議と懐かしく感じて、思わず演奏をお願いしてしまったんだよ」「ありがとう兄さん、あの頃カルカナル社は、とても良い行いをしてると思っていたよね」猫沢さんは、子猫時代を思い出していました。猫庭博士と風さんの3人で子猫探偵団を結成し、カルカナル社に立ち向かった事を、、「あぁ、真逆だったな…」「この空気、あの頃と似てるね」猫沢さんは、ふと思い出したように、ケイオスさんの曲を奏で始めると、風さんは、何かを思い出したのか目頭を押さえ鼻をかみました。吟遊詩人ケイオス、彼は、猫沢さんが子猫の頃に知り合った、カルカナルの悪行に終止符を打つために戦った猫、猫沢さんにとってヒーローそのものであり、音楽(波)に興味を持った最初の猫、彼の原点…「発表会の準備は進んでるかい?手伝うことあったら言ってくれよ」「ありがとう」猫沢さんは会計を済ませると、お持ち帰り用のパニャーンを抱え裏口からソッと出ていきました。[第2章 おわり] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

《大肉球曼荼羅 第2章⑯目立つボディーガード》

湿度の多い上に猛暑と言う、おかしな天気が続きます。私は、9月の二人展に向けて作品制作をしています。画像は、新作で描きました。本編に新登場のSP-8888(フォーエイト)です。今回、猫沢さんのボディーガードを勤めている警官ロボット猫、特別な任務やイベントで大活躍しています。この原画は、9月の高円寺の猫の額さんにて展示致します。では、続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑯目立つボディーガード》あれから2週間…猫沢さんの周りでは、次々と奇妙な事が起こり研究所の猫達も今までにないハプニングやトラブルに遭遇しながらも、研究発表会の準備が進められていきます。猫沢さんは、毎朝、猫居博士の研究施設に行き、朝のお勤めのようにイクサフィーゴ達に音楽を聴かせ、時には歌を聴かせ対話し、発表会の進行プログラムを考え、午後からは研究所で、丹念に展示用の資料を製作し、研究員達を交えてのミーティングを重ね、忙しい毎日を送っています。単独で大規模な研究発表をする学者猫は、ほとんど皆無で、大抵は小さな会場を借り、学生や同業の猫達を対象にした催しをしています。猫沢さんも、かつてはそうでしたが、猫谷エンジニアの提案で、一般猫向けに公開発表するようになり、業界猫達に、一般猫には難解であろうと非難されたが、なんだか分からないけど大きな衝撃や感動を受けるドラマチックな研究発表に、瞬く間に観客が増えていきました。会場で販売されるプログラムには、研究内容や経歴等も記されてはいるものの、音楽使いや唄歌い等と勘違いされ、老若男女猫問わず多くの支持を得ています。そんな彼が、イクサフィーゴ捜索へ、テラへ旅立ち任務を終え帰還するや否や、歓迎ムードは一転、非難対象へと引きずり下ろされ苦境とも言える事態に見舞われているのです。彼の活動を妨害する、世界的アイドル子猫ロドニア、天使の歌声に美しいメロディ、可愛らしいルックスは全ての猫を魅了、彼が率いるロドニア・ニャンパニーは、大昔に禁止された魅惑の調味料ウトゥサを使い、パティシエ猫と手を組み洋菓子店を展開、星中の猫達を虜にしています。ここは、猫沢さんの兄、風(ふう)さんが経営する[カフェ&バー虚空庭園]10代位の少女二人が、楽しげにお茶をしています。帰り際、風さんはフライヤーを手に「今度、ここでミニライブしますから、良かったら来てくださいね」「ハーオスさんだ!」少女達は驚いて目を輝かせます。「ご存じですか?」「はい!いつも公園で歌ってるの聴いてます!行きます!」「それは良かった、お待ちしてます」少女達はチラシを片手に、笑顔で店を出ていく瞬間、入れ替わりで、猫沢さんとSP-8888(フォーエイト)、すれ違う少女達の一人が、恐ろしいものを見るような形相で「ご、ごめんなさい‼」と、叫んだかと思うと、全力で走って行ってしまいました。連れの少女は、何が起きたか分からず追いかけていきます。「?」猫沢さんも、なぜ急に謝られたのか分からず、カウンターに腰かけました。「なんだったんだ?」「私の事でしょうかね?」SP-8888は、首をかしげました。彼の姿がおおやけの場で見られるのは、大きなイベント等でのデモンストレーションや、子猫達の集まるイベント等が多くヒーロー的存在。普段は極秘任務やパトロールに携わっているため、気軽に町中を歩いている事はほとんどありません。徒歩での移動中、時々猫達が寄ってきては写真を撮ったり、サインを求められたりするSP-8888を、微笑ましく見つめる猫沢さん、そんな目立つ彼をボディーガードとして担当させた猫谷エンジニアに、理由を聞こうとしましたが「秘密」とだけ言ってニコニコしてるだけだそうです。「いや、私の顔を見ていたよ」猫沢さんは、自分を指差すと、風さんが出してくれた水を飲み干し、店内を見渡します。「スダチちゃーん!一体どーしたのー」連れの少女が、パニック状態に陥り地面にしゃがみこんでいる少女に追い付きました。「ね、猫沢さんだった、さっきの猫沢さんだった」「へ?あのおじさんが!?」「うん、私、どーしよー」「どーしよーって、どーしたの?」「謝らなきゃ…」「謝る?」「ねー、アンズちゃん私どーしたらいい?警察ロボットもいたし、、」連れの少女は、何かを察したのか、近くにあるカフェに連れていきました。泣きじゃくる少女は事情をポツリポツリ、冷静に話を聞いていた連れの少女は、「あのね、スダチちゃん、警察行こう、そして謝ろう」[つづく] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

《大肉球曼荼羅 第2章⑮SP-8888(フォーエイト)》

寒暖差激しい日が続きますね。一度しまった上着を引っ張り出したと思ったら湿度の多い蒸し暑さ、気のせいか救急車のサイレンも増えた気がします。熱中症や突然の体調不良に気をつけて、お過ごしください。画像は、昨年の高円寺での木元慶子さんとの二人展の模様です。猫の星の宇宙鉄道をテーマに描きました。今年の9月の二人展のご案内です。会場は猫雑貨がたくさんある猫好きにはたまらないお店ですよ。では、物語の続きをお楽しみください。新キャラ登場です!《大肉球曼荼羅 第2章⑮SP-8888(フォーエイト)》猫沢さんは、別室に置かれた不審な荷物へと近づき、青ざめました。「これは…」「見ての通りだ」しっかりとした化粧箱に収められた、美しい大柄の白いユリ科に似た花の装飾を施したスーツは、一見華やかに見えますが、猫の星では故猫を弔いする為に使用されるものです。「あと、盗聴器、回線は切断してある。素人の雑な嫌がらせだ…」「なぜ素人と分かる?」「ロドニア達は、こんな幼稚な真似はしないだろう、雑な情報に振り回された猫達の短絡的行動だ、エスカレートしないうちに仕掛けた猫達を探しだしておくから」「ありがとう」「じゃあ、この衣装は預かっておくよ」「いや、ありがたく使わせてもらうよ」「はぁあぁ!?正気か?」「よく見ると、雑な嫌がらせにしては、ちゃんとした生地が使われているし寸法も大体合っている、どこで調べたのかな?不思議だね。仕立てた猫も調べて欲しい」猫沢さんは、しげしげと衣装を眺めていました。「分かった、死装束着て演奏するなんて、全くおかしなやつだな」猫谷エンジニアは、危険性がないか調べてから、猫沢さんに渡す事を約束し荷物を引き取りました。「盗聴器が仕込まれてたのは驚いた、気持ち悪いな…」「そっちかよ!どっちも気持ち悪いだろ、幸い、荷物は、三毛野くんが受け取ったようだが、研究室には置いてなかったらしい」「ところで、猫谷、私は、どこまでガードされるんだ?」「君達全員に、ロボット警備員を配置したから、自宅では安心して休んで欲しい」「ロボット猫達もいるのか!そりゃ頼もしいや、ありがとう!」休憩室に戻り、荷物の中身を報告すると、身の危険を感じた研究員達はざわめきました。「と言う訳ですので、安全の保証はします安心してください。では、明日は午後からのミーティングよろしくお願いします。解散!」猫達は、一体づつ警備ロボットを引き連れ、帰宅していきます。「はじめましてネコサワ博士、私は護衛専用ロボットのSP-8888(フォーエイト)です」「よろしく、カッコイイボディだね」「ありがとうございます」猫沢さんは、彼の、スーツをビシッときめたロボコップのような出で立ちに胸を踊らせました。普段の生活では、なかなかお目にかかれないタイプです。「じゃな、猫沢、また明日なー」「はーい」猫谷エンジニアは、ロボット猫と任務交代し帰っていきました。どこかの民家の屋根裏部屋では、衣装を送りつけたと思われる少女二人の影が…「あ、電波が切られてるわ!気づいたのね!」少女の一人が、舌打ちをすると、「ねぇ、私達、ヤバくない?捕まっちゃうよ」もう一人の少女が、震えた声で呟きました。「大丈夫よ」「でもさ、でも、猫沢さんにあんな事して、ただですまないよ…」「何を弱気な事言ってるの?思い切り困らせてやりましょうよ!」「私、こわい」「こわい?何が?」「…猫沢さんが…」「あんなほそっこいおじさん猫、弱そうじゃん」「そう言う意味じゃないの」「ロドニアくんは、ネコサワの作る音楽は有害で猫達の心を壊すって言ってたのよ。だから私、皆を守りたいの!!」「壊す?私には、そんな風に聴こえないよ。強くて優しい音楽だよ」「なんでネコサワの肩を持つの?あなたなんかロドニアくんのファンを名乗る資格ないわ!出てって!」仲違いをした少女の一人は、彼女の家を飛び出して行きました。「どうしよう…あの子を止めなきゃ」少女は、細い道を歩いていると、道の隅に黒い子猫がうずくまっているのに気づきかした。近づいてみると子猫ではなく猫の形をした黒い靄、、、少女はビックリして、後退りしながら去ろうとすると、靄は彼女に近づき「…メテ…アノコ…ヲ…トメ…テ……ド………ニ…ァヲ…ト…メテ」靄は、そう言うと、闇に溶けて消えていってしまいました。少女は、泣いているように見えた靄に恐怖よりも悲しみが湧き、大きな涙をこぼしながら、トボトボと家に向かいました。[つづく] (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]シリーズ】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)   委託先のご紹介、ポストカードや原画など販売しておりす。  猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

《大肉球曼荼羅 第2章⑭不穏な風》

久々の更新です。2022年も半分となり、年月の経つスピードの速さに驚いている今日この頃です。今年は、9月に東京、高円寺[猫の額]さんにて木元慶子さんと二人展を開催致します。今年のテーマは、お祭り 懐かし縁日や世界のカーニバルなど、楽しむ猫達が満載です。ただいま、作品制作中お楽しみにでは、物語の続きをお楽しみください。画像は、昨年2021年に岐阜県各務原市[カフェ&ギャラリー204]で開催された個展の模様、猫沢さん作品を展示しました。そして、二人展のお知らせです。[大肉球曼荼羅 第2章⑭不穏な風]猫沢さん達は、お土産に貰った、ナッツローズティーを箱いっぱいに詰め込み、猫居博士達と別れ、研究所の角を回ると、Σ-41が、「猫沢博士、また、あの波を感知しました」「!?」Σの目線を追うと、朝方見た、あのモヤのような物体が近づいて来るのを目撃しました。猫沢さんは思わず耳を立てます。「どうしました?」Σは、首をかしげます。「…聞こえる」「?」「…歌っている」「歌?」マシンを運転しながら聞き耳を立て首をかしげる、猫谷エンジニア「俺には聞こえないが」「なんて悲しいメロディーだ…」猫沢さんは、黒い靄の物体には何もせず、ただただ耳を澄ませていると、靄はスッと消えていきました。「あれは一体なんだ?幽霊か?」「わからない、何を歌っているのか分からないが、とても心が痛む…」猫沢さんは、小さく肉球を叩くと、先程のメロディーを再現してみました。「もの悲しいなぁ…」猫谷エンジニアは、そう言うと大通りに面している、ニャーコースト公園の脇を通過していきます。すると、大勢の猫だかりが目に飛び込んできました。猫沢さんは、気になったのか耳をパタパタと動かしています。「どうした?」「あの猫だかりは何?」「大道芸でもやってるんじゃないか?あそこは、いつもいろんなイベントをやっているし」「止めて」「?」猫沢さんは、駆け寄っていきます。猫谷エンジニアも後を着いて猫混みをかき分けていくと、そこには、旅猫姿の青年が弦楽器を奏でていました。ウェーブがかったブロンドがなびくと、帽子からチラリと見える優しい瞳が遥か遠くを見つめ、高く伸びやかな力強い歌声が見つめた先をめがけていきます。「ケイオスさん!?いや、そんなはずは…」猫沢さんは、目をぱちくりさせ、彼に釘付けになっています。「ケイオス?誰それ?ハーオスさんよ、素敵な歌声でしょう」隣にいた、少し派手な身なりの中年女性が、うっとりしながら聞き入っています。「ハーオス?」猫沢さん達は、しばし彼の歌に浸っていると、どこかでヒソヒソと声が、猫谷エンジニアがとっさに猫沢さんを帽子をかぶせ、猫だかりの輪から連れ出し、マシンに戻りました。「危なかった」「?」「気を付けろよ、袋叩きにあうところだったぞ」猫谷エンジニアは、猫沢さんの帽子を更に深く被せ、マシンを走らせます。猫沢さんは、ハッと気づきミラーに映る、追いかけてきた柄の悪い数人の猫影に震えました。今、テラ派遣クルー達は、言われなき誹謗中傷の中に居るのです。彼は、リーダーということもあり面が割れている為、身の危険に晒される確率が高いのです。研究所に着くと、建物の回りには大勢の警備員達に厳重に守られていました。最初は、大袈裟だと笑っていましたが、笑い事では済まない事だと、研究所の仲間たちの安否の確認を急ぎます。「おかえりなさい!猫沢博士」研究室では、いつものメンバーが笑顔で待っていました。「みんな、大丈夫だったか?」「大丈夫です。それよりも、こちらを」「?」三毛野くんが、目をキラキラさせ大きな箱を抱えて来ました。「猫沢博士、研究発表会用の衣装ですって♪先程、届きました!」猫沢さんが、手に取り開けようとした時、「ちょっと待ってくれ!明日、猫居博士の所で受けとる約束をしてる筈だ、ここには届かない」猫谷エンジニアが、猫沢さんの手から荷物を外しました。三毛野くんは、キョトンとしています。「私達が確認させてもらう」猫谷エンジニアは、外にいる警備員達と連絡を取り合うと、荷物は別室へと運ばれて行きました。「三毛野くん、どんな猫が持ってきた?」「キャロールさんです」「知り合いかね?」「僕の友人のお姉さんです」「配達員か?」「はい、白猫急便で働いています。僕が受け取ったのは偶然だったんですが驚きました」「ひとつ聞いていいかい?」「なんでしょう?」「君の友人のお姉さんは、ロドニアのファンかい?」「分かりません、友人がロドニアの熱狂的なファンです…」「ありがとう、もし、今後荷物が届くことがあれば、私達に報告して欲しい。関係者の君達も狙われる可能性がある」今回の発表会はただ事ではないと緊張感が部屋いっぱいに広がりました。猫沢さんは、そそくさと給湯室へ入って行きました。「なぜ、ロドニアは猫沢所長を狙うのですかね?」「詳しいことは分からないらしい、面識もないし接点もないよ」「確かに、所長はアイドルでもなければ同期ライバルでもない…」「ライバル?どう考えてもおかしいよ!所長は普通のおじさん猫だよ」「いいえ、相当普通じゃないおじさん猫よ」夏音(なつね)さん、三毛野くん、大和さんをはじめ、猫沢さん直属の研究主要メンバーが、ヤイヤイ談笑しながら休憩室でくつろいでいます。この小さな研究所には30名程の研究員が在籍し、その半分は、猫居博士の研究員達がΣ達のメンテナンス及び、ロボット研究の為、在籍しています。「お茶が入りましたよー」猫沢さんは一人一人に手渡し、席に着くと「このお茶は、ナッツメック星の特産のナッツローズと言う植物から作られたお茶です。猫居博士からサンプルを頂いたので、飲んでみてください」「これは珍しいものを、甘い香り、あの黄色い方々の星のお茶ですか?」「スッキリしてほのかに甘い、これは美味しいですね」研究員達は、次々と感想を述べていくと、最後の一人が「ごめんなさい…私、この味苦手です」ショートボブでアメショー柄の研究員が、申し訳なさそうにカップを置きました。「あぁ、気にしないで、素奈尾(すなお)さん、あなたはアンニャミラーズのケーキは食べた事ありますか?」「いいえ、私、甘ったるいお菓子は苦手なんです…」「なるほど、口直しにニャンコーヒー入れましょう」「い、いえ、大丈夫です」「そう言えば、さっき、私の事、相当普通じゃないおじさんて言いましたね?」猫達は、ちょっと慌てます。「この研究所にいる、あなた方も、相当普通じゃない猫達です、おあいこですよ」猫沢さんは、ニコニコしながらナッツローズティーをすすりました。「猫沢博士、ちょっといいですか?」猫谷エンジニアに呼ばれ、別室の扉を開けました。「さっきの荷物だがな…」[つづく]  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

大肉球曼荼羅 第2章⑬2代目シヴァ

お待たせいたしました。久々の更新です。展示用の作品を製作しておりました。まだまだ、コロナ騒ぎはおさまらずの状況ですが、物語は淡々と進んでいきます。2022年も、9月に猫の額さんにて木元慶子さんと二人展を致します。お馴染みの猫沢さん達も活躍する展示となっております。画像は、初期作品の猫沢さんと2代目シヴァです。街の中に聳え立つ、とても大きな黄金の魚がイクサフィーゴは猫の星のシンボルタワーであり、エネルギー供給システムです。では、物語の続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑬ 2代目シヴァ》猫沢さんは、研究施設から1キロ程先に設置されているイクサフィーゴに向かって歩いていこうとしていました。猫居博士達と、猫谷エンジニアは護るように彼を移動マシンで拾い上げ、スッとイクサフィーゴの前で降ろしました。安全な施設内であれど、何が起きるか分からないのです。あのイクサフィーゴに目玉を植え付けた侵入者の謎が解明されていないのですから…巨大な培養器に黄金の魚イクサフィーゴ、正確には初代シヴァから複製されたクローン体、彼等は猫の星のエネルギーを生産する謎多き生命体、元々は既に滅びた星の民である彼等は[橋渡しの民]地球人、風天寅次郎(かざまとらじろう)博士(猫の星の時は猫居虎之助)と共に旅をしているのです。1体だけ休眠状態だった初代シヴァは、この星に滞在し暫くの間、エネルギーを作り続ける任務を任されていました。猫達は、もっと沢山のエネルギーが必要だと、造り上げたクローン…そのクローンの全長は70メートル近く(培養器を入れると138メートル)、7メートルの初代よりも大きく星全体のエネルギーを供給できる素晴らしい個体へ成長し、30年近く猫達の生活を支えていたのです。しかし、カンタスカラーナ歴1121年、地球時間西暦2013年に当たる年にイクサフィーゴの腹部に巨大な目玉が現れ、エネルギーが絶たれてしまいました。猫居博士達は復旧作業に伴い、休眠していた初代シヴァを再起動させた途端、星の西と南と北に設置されていた仲間のイクサフィーゴ3体が、姿を消してしまった事で猫達はパニックに陥った当時、猫沢さん達が、彼等を連れ戻す為に地球へ向かい2年後に帰還帰還直後、カンタスカラーナの猫達も少ないエネルギー生活にも慣れ、あらゆる術(すべ)を身に付けていた為、大きな混乱はなく、それどころか、イクサフィーゴ達が地球から帰らない事情を知った猫達は、兄弟星の民達の為に祈りました。ですが、ロドニア達がばら蒔いた妙な噂が拡がると、手のひらを返したように、猫沢さんをはじめ派遣クルー達は、非難の目にさらされてしまったのです…。「2代目シヴァよ…なんと痛ましい姿…」シヴァの前に言葉を失う猫沢さん、遠くから見えなかった脆くなった鱗やヒレは艶をなくし、輝きを失った瞳は、猫沢さんの気配に気づいたのか助けを求めるように見つめます。今は、カンタスカラーナ歴1123年…1121年以降、目玉の怪物を抱えながら星を護り続けている彼を、猫沢さんは美しいメロディーで覆いました。そう、あの不思議な楽器です、肉球を何度も叩くと綺麗な音色と共に光の幾何学模様が現れ、2代目シヴァの体内に吸い込まれていくのが猫居博士達の目に映り驚きを隠せません。その後も猫沢さんは、しばらくの間、彼の側で空間を弾き音楽を奏でていました。弦楽器にも管楽器にも打楽器にも聴こえる、何層にも重なりあう不思議な音色、次から次へと即興で繰り出されるメロディーは、まるで天界のオーケストラ15分ほど奏で…「これが、今の私に出来る精一杯だ…明日もまた来るから…」そう言うと、猫居博士達が待つ移動マシンに戻ってきました。「猫沢博士、素晴らしい演奏をありがとうございました!さきほど制御スタッフから、停止していた一部の機能の回復の兆しが見えたと報告がありました、部屋に戻りましょう」「良かった…」猫沢さんは、安心した表情でイクサフィーゴを見つめます。地球でイクサフィーゴ達と直接出会った猫沢さんは、彼等の星の話や、寅次郎博士との旅の話を聞き、彼等の事を何一つ知らず過ごしていた自分を恥ずかしく思いました。猫達の生活を当たり前のように支えていた彼等、猫居一族の絶え間ない努力と技術の結晶が、今、途絶えようとしている…「猫居博士、明日は初代の所に連れて行ってくれないか?」猫居博士は、ソッと笑顔でうなずきました。戻って来ると、部屋にはニャフタムーンセットがテーブルに並べられ、ニャンベリーの良い香りが広がっていました。着席すると、温かなニャティーが注がれ、猫沢さん達の心を癒し、少し冷えた体を温めます。「美味しい!このニャティーは初めて飲む、なんてお茶だい?」猫沢さんは、目を輝かせカップをきゅっと握りました。「ナッツメックの方が育てたナッツローズのお茶です。昔から飲まれているのを、星の特産品にしようと試作を持ってきてくれたんです」「素晴らしいね、どんな植物かな?」「可愛らしい黄色い花びらで、花と葉が、お茶になるそうです。ウトゥサを食べ過ぎた時に高速分解出来るとの事で、もしかしたら?と思い持ってきてくれたんです」「もしかしたらとは?」「今、調べている途中なのですが、ここににいる、アンニャミラーのスィーツ中毒を起こしている猫達に試飲して貰ったところ、期待できそうなのです」「君達のスタッフの中にもウトゥサ中毒がいるのか?何が期待できるって?」「解毒作用です。アンニャミラーは元々小さなスィーツショップでした…ここの施設に近かったので、元々の店のファンが多いんです。ロドニアと組んだ時に味が変わってしまったと騒いでいたのですが…次第に…あの味に飲み込まれてしまって…ドクター猫白、ここのニャックシュー最高でしたよね?」彼は、静かにうなずきました。ニャックシューは、看板スィーツのひとつで、フワフワの生地にフワフワのクリームが入っていた、消えてしまった幻のお菓子で彼の大好物でした…猫居博士は、心配そうな表情で小さな溜め息をつくと、研究施設専属のパティシエ猫達が再現した昔のアンニャミラーのニャンベリーコーツを「これじゃないんだよな…」と言う表情で口に運びました。猫居博士達も、あの頃の店のファンだったのです。「猫居博士、このニャティー、少し分けてくれませんか?」「少しなんて遠慮しないで下さい。ナッツメックの民に届けてもらうように手配させて頂きますよ。あ、とりあえず、この試作品持ってって下さい」そう言って、棚から持ってきた箱を渡しました。「ありがとう!!」猫沢さんは、何かを閃いたのか笑顔でニャンベリーコーツをペロリと頬張り、穏やかな時間を過ごしました。[つづく]  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年2021年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展を開催しました。2022年の9月に開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

大肉球曼荼羅 第2章⑫ロドニアからの伝言3

めっきり朝晩寒くなりましたね。そうそう、10月に開催した岐阜県各務原市の、ギャラリーカフェ204さんでの個展「一粒万倍」ご来場下さった方々、作品をお迎え下さった方々に感謝致します。お天気にも恵まれ、新たなご縁もあり、実りある展覧会となりました。画像は、その時の模様です。今回は、作家活動初期から書いている神仏猫シリーズの最新作や、過去作品をズラリと展示させていただきました。そして猫沢さん作品も少し、、(このブログ小説の中にも、神仏猫達はちょっとだけ登場しています)それでは、物語の続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑫ロドニアからの伝言③》猫谷エンジニアは、赤と黒を基調とした怪しげなサイトに辿り着きました。「これは…一体」「ロドニアの公式裏サイトさ」そう言うと、彼は謎のアイコンを示した後、引き返してしまいました。「何故、先に進まないのですか?」「ヤバイものがいる…猫沢が起きてきた後に見せるよ…それよりも、こっちを見せよう」猫谷エンジニアは、レインボーロータスが画面いっぱいに広がる映像を見せると、中央に浮かんだアイコンをクリックしました。「わぁ‼凄い!」「猫沢には内緒だ♪」あれから、何時間経ったでしょう…真っ白な天井を見上げ、ぼんやりする猫沢さん「博士!お加減はいかがですか?」Σ-41(よっちゃん)が駆け寄ると、猫沢さんはニコリと微笑み、ベッドから抜け出し深呼吸をひとつ…先程、ロドニアが映っていたモニターには美しいレインボーロータスが映し出されていました。「猫居博士達は?」「隣のお部屋にいます。行きましょう」猫沢さんは、ソッと扉を開けますと、3人が食事を食べ終える頃でした。「あ!猫沢博士!!良かったー!一緒に食べましょ」猫居博士が、笑顔で迎えます。猫沢さんは、キョトンとしながらテーブルにちょこんと座ると、絶妙なタイミングで、給仕の猫達が昼食を運んできました。「もう、こんな時間…」「よく眠れましたか?」ドクター猫白が、少々心配そうに問いかけます。「はい、随分と楽になりました」そう言うと、ペロリと山盛りサラダを平らげてしまいました。「こんな事態に、やけに機嫌良いじゃないか?」猫沢さんは、ニコニコする3人を怪訝な表情で見つめます。「猫沢博士、今回の研究音源発表には最大限の力を注いで専念して下さい。準備に必要な環境は全て、こちらでご用意します」「環境も??それはありがたい、もちろん、そのつもりだよ。それに今回は良いもの手に入れたんだ」猫沢さんは、子猫のような表情で、ポンと肉球を叩き、一瞬、光の幾何学模様が現れたかと思うと、空(くう)を弾くように動かし、この世のものとは思えぬ美しい音色を放ちました。弦楽器にも管楽器にも聴こえる不思議な音色…「な、なんですか、それは!?」猫居博士とドクター猫白は、目を輝かせました。猫谷エンジニアは、あ、あれはさっきの…と言うような表情で見つめています。「いいでしょ、この楽器♪虚空庭園で貰ったんだ。ここの空間は良いね、淀みもなく澄み切っている」「貰った?楽器ですって?」「あぁテラビトにね」「虚空庭園にテラビトがいたのですか?」「ああ、珍しいよね、テラビトに似たヒューマノイド型の生命体かもしれないが…」具沢山のスープを前に、目をキラキラさせる猫沢さん、猫居博士の研究所の料理猫達は、猫沢さんの好みを熟知していて大好物ばかり、時々、出前をして貰ってる位好きなのです。「そう言えば、猫谷、面白いもん見つけたって言ってたけど、なんだい?」「あとで見せてやるよ。彼等が、お前を攻撃する理由の1つが分かったよ」「しかし、私には接点がない」「あるよ」「どういう事だ?」「声と音だ」「それだけか?」「それだけじゃない」そう言うと、猫谷エンジニアは、猫居博士に視線を渡した後、デザートに付いていたニャンベリーを頬張りました。猫沢さんは、キョトンとしています。「猫沢博士は、帰還パーティーの時にロドニアの歌を歌いましたよね」「ちょっとだけね」「その後、ご自分の歌を歌って、ロドニアの歌を消しました」「消したよ、あいつの歌は気分が悪くなる…」猫沢さんは、ぷぅと頬をふくらませ眉をひそめました。「お気づきかもしれませんが、ロドニアの楽曲は一見、美しいメロディーで歌詞も良いと評判ですが、音の中に猫達を狂わせる波が仕込まれていました」「だから気持ち悪いんだ」「狂わせるのは、猫達だけではありません」猫居博士に、真剣な表情が見えました。「!?」猫居博士は、あるデータを見せながら、イクサフィーゴ2代目シヴァのボディに現れた謎の大目玉は、現在もシヴァのエナジーを奪っていると…しかも、急成長し始めたのは、ロドニアが華々しくデビューした時期と重なると言うのです。「今は、初代シヴァの力を借りエナジー維持しています。あなた方が帰還する、少し前、偶然にもあなたの音源を聴かせたところ、僅かながら目玉の収縮が見られました。あれからずっと聴かせているんですよ」「猫沢、イクサフィーゴを甦らせる力を持った奴が現れたら、どうなると思う?」「…不都合だな」猫沢さんは、そう言うと、デザートのヨーグルリを頬張ります。「ところで、これはロドニアの未発表曲だが、何を感じる?」猫谷エンジニアは、再び謎のアイコンをクリックし、美しい映像と共に音楽が流れると、猫沢さんは青ざめ頭を抱えテーブルに顔を伏せてしました。「頭が割れそうだ…止めてくれ…これは、強力なサブリナルミュージック、作ったのは誰だ?」「クレジットには猫爪光明(ねこつめ こうみょう)と書いてある。私達には普通の音楽にしか聴こえないがね…猫沢、お前の耳は聴こえない音まで拾ってしまう…」猫谷エンジニアは、少し心配そうに見つめます。「猫爪…?知らない…しかし、この気持ち悪いメロディーは、どこかで聴いたことがある…。サブリナルミュージックは、猫達の潜在意識に入り込み巧みに誘導する技術の1つだ、この音楽を聴いた者は、何かの拍子に私に敵意を向けさせるような行動を取らせる可能性がある。その時、私は容赦なく「猫だまし」を、かけるから、そのつもりでいてくれ…しかし、この音の癖は…??」猫沢さんは3人に警告すると、記憶を辿るも思い出せません。ですが、確かにどこかで微かに聴いているのです。猫谷エンジニアは音楽を止め、美しく重ねられたメロディーを流し、室内に充満したロドニアの波を打ち消しました。「これは、私が作った音…?」「そうです。これを毎日イクサフィーゴに聴かせているんですよ」猫居博士は、気持ち良さそうに聴き入っています。「猫沢、お前ならどうする?」猫谷エンジニアの問いに、しばらく空を見つめる猫沢さん…「私なら…」ヨーグルリを食べ終えると、カタンと立ち上がり、部屋を出ていきました。「猫沢博士、どこへ?」猫沢さんは、イクサフィーゴを指差しました。(つづく)  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年と2021年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展を開催しました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんと、茨城県の大洗only-shopさんにて購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ 

大肉球曼荼羅 第2章⑪ ロドニアからの伝言2

お久しぶりの更新です!かなり間が空いてしまいました。二人展や個展など、他、バタバタしておりまして、なかなか更新できずじまいでした。お待たせいたしました。更新再開です。どうぞ、続きをお楽しみください。画像は、猫の星の人気アイドルのロドニア君です。《大肉球曼荼羅 第2章⑪ロドニアからの伝言2》猫沢さんと猫谷エンジニアは、門にある、純白のイクサフィーゴの巨大オブジェを通過し、まるでギリシャ神殿のような建物の中へと吸い込まれていきます。ここに来るのは、テラから帰還以来建物の中には、外観からは想像も出来ない近代的、いえ、未来的建造物が…猫居博士の助手、サファイアさんが出迎え、地下へのエレベーターへと乗り込みます。大きな会議室のような部屋には、二人を待っていた猫居博士の姿が…「おはようございます。猫沢博士、急に呼び出してしまってすみません」「いや、ちょうど私も、こちらに向かおうとしてたんだ」「そうだったんですか!?」二人は、同時に何かを取り出そうと、同じ動作をしています。「これ…!!?」「あれ!?」二人が、目を丸くしました。「ロドニア…」ロドニアの顔が大きく印刷された、コンサート告知チラシでした。どうしたことでしょうか?「猫沢博士も、気づいていたんですか?」「ここを見てくれ」猫沢さんは、広げたチラシを手に、フルフルと肩を震わせています。「同じ日程ですよね。告知が発表されたと同時に、あなたをはじめ、テラ派遣クルー達の妙な噂が立ちはじめて不審に思っていたんですよ」「なぜ…私を狙う…今朝、ロドニアからの伝言を聞いたんだ、私に制裁を下すとね…」「制裁ですって?」「あぁ、助手の彼女がロドニアのファンでね…あらかさまに私への敵意を見せたんだそうだ」猫沢さんの表情が、こわばります。「偶然かもしれないが、彼の会場は、距離は離れてはいるが、私達が押さえた会場と向い合わせだ…」猫居博士と猫谷エンジニアは、示された地図を見て、目を丸くしました。「あいつは一体…何者なんだ?」そう言ったかと思うと、猫沢さんが、二人の視界から消えてしまいました。意識消失し床に倒れ込んだ姿に、二人は一目散に医務室へと運び込みます。ぼやける天井と、心配そうに覗き込む二人「猫沢博士、大丈夫ですか…」「私は…一体…ここは?」「医務室です、先程、意識を失い倒れたんですよ」「倒れた…私が?」猫沢さんは、慌てて起き上がろうとしますが、猫谷エンジニアが無言で押さえ付けます。「安静にしていてください」後ろから、真っ白な長毛がふわりふわりとなびく美しい猫が現れました。「初めまして、私、この施設の専属ドクターの猫白(ねこしろ)です。猫沢博士、随分とお疲れになっています。帰還後よく眠れていますか?」「いや…あまり、ここのところずっと浅い眠りで…」「やはり…」医務室のモニターに映された、飛び切り可愛らしいロドニアの微笑みが、猫沢さんの目に飛び込んできました。見た瞬間、耳を後ろにたたみ、目を丸くして後ずさろうとします。「どうされたのです?」「わからない…ただ、この猫の顔を見ると…」「怖いのですか?」「怖いと言うか、身がすくむような感覚です…」「どこに、そう感じるのですか?」「目です…」「目…ですか…」ドクターは、ロドニアの画像を見つめます。大きな瞳で可愛らしい子猫「…この瞳は、誰かに似ていますか?」「おぼろ気ですが、私が子猫の頃に見た猫の目に似ているのだと思うんです…」「どんな猫でしたか?」「年老いた猫…怖い顔をしていました…でも、思い出せないんです…」猫沢さんは、顔を覆います。いったい、彼は何を見たと言うのでしょう…医師は、これ以上追求するのを中断し、ひとまず安静にと、猫沢さんに温かいミルクールとクッキーを渡し、ふかふかの掛け布団をかけ、3人は別室へと移動していきました。猫沢さんは、飲み干すと、緊張が解け深い眠りへと落ちていきました。医務室の隣の別室は、スッキリと白に統一された、一瞬の淀みもなく澄み切った空間、そこに浮かぶ、淡い色彩の丸や三角の幾何学の模型のよう物体が、微かな音を立て回転しています。3人は、ロドニアの画像を、じっと眺め「猫居博士…確か、この子の遺伝子情報は…登録されていないと言っていましたね」ドクターが、不思議そうな表情で、問いかけます。「あぁ…」地球のように星の猫達は、戸籍のようなものが存在していますが、奇妙な事にロドニアには、ないのです…。「猫沢博士の異常な反応は一体……」彼等には、無邪気な笑顔のロドニアの奥にある何かが見えません…。「猫居博士、ドクター猫白、これを見ていてください」猫谷エンジニアは、タブレットのキーを叩きながら、自分達を叩くゴシップ記事を通過し、そこから…次々と何かのセキュリティーを潜り抜け、ある場面に辿り着きました。「!!!」(つづく)  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観を、2021年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展を開催しました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんや茨城県の大洗の、どうぶつ雑貨雑貨店only-shopさんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓

《大肉球曼荼羅 第2章⑩ロドニアからの伝言》

2021年の1月も早々終わろうとしている頃、この1年でガラリと変わってしまった世界、果たしてこの世界は、どこに向かうのでしょうか?お待たせいたしました。お久しぶりの更新です。画像は、2021年描き初めの「天翔」かわいい猫沢さん達が、天を翔ます。今年もよろしくお願いいたします。では、続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑩ロドニアからの伝言》翌日、三毛野くんが朝イチで、血相を変え出勤してきました。「おはようございます!所長!!所長はどこですか!?」「おはよう。私は、ここだよ、一体全体どうしたんです?」「ロドニアが!!!」「ロドニアがどうしたんです?」「ダーニャの日に、旧カルカナル緑地公園でコンサートを開きます!」「なんだって!?」猫沢さんは、ギョッとした表情で、三毛野くんを見つめます。「それだけではありません!!昨日、彼女が…アーリスが、突然「イクサフィーゴは排除する」「猫沢博士に制裁を下す」と言ったんです!」三毛野くんは、尻尾を丸めフルフルと震えていました。彼女を送り届けた帰り道、奇妙な老猫が恐ろしい目付きで、こちらを睨み付けていた。と…「宣戦布告…?…純粋なファンの心を操るとは…卑怯な…」「所長…彼女を助けて下さい…いえ、ロドニアを崇拝する猫達を救って下さい!」「もちろんだ。ところで、何故、名指しなんだ??」「分かりません。面識でもあるんですか?」「接点は一切ない!面識も全くない!」猫沢さんは、困惑しました。本当に、あの子猫とは、1度も会ったこともないのですから…なのに、同じ日に屋外コンサートをぶつけられたり、一方的に敵意を見せつけられたり…雲行きが、怪しくなっていきます。「三毛野くん、引き続き彼女を守ってやってくれ」猫沢さんは、そう言うと、出掛ける支度をはじめました。「所長、どこへ?何が起こる分かりません。気を付けてください」「ああ、大丈夫さ」猫沢さんは、Σ達を呼びつけ、玄関を開けると、そこには猫谷エンジニアが立っていました。「おはようございます、猫沢博士」「お、おはよう。どうしたんです?」「猫居博士から頼まれて迎えにきました」「ちょうど良かったー!今、行こうとしてたんですよ」猫沢さんは、偶然に驚きながら、猫谷エンジニアのマシンに乗り込みます。「研究所の回りに警備を配置した、しばらくの間、外出時は私達が付いていくから、そのつもりで」「え?」「風向きがヤバくなってきたようだ。念のため、テラ派遣メンバー達にもボディーガードを付けたよ」「アクアさんは、大丈夫か?彼女はロドニアケーキで頭がイカれかけてる…」「時々、おかしな行動を取るようになったが想定内だ…花音さんの料理で正気を保っている。最近、疲れが取れないと悩んでいるよ」「ウトゥサの影響だよ。ウトゥサが切れると、酷い倦怠感に襲われるのが特徴だ…操縦に支障が出そうな時は休ませてやって欲しい…」「分かった、幸い、今、彼女の担当している船は、自動操縦の大型船で操縦士も複数いる。大丈夫だろう」猫谷エンジニアは、マシンを飛ばします。「猫沢、妙な噂が拡がっているのを知っているか?」「噂?どんな?」「テラ派遣クルーの…」「!?知ってるよ。これだろ?『任務失敗!!無惨!星を救えなかった猫達』最近、これのせいで変なイタズラが多くてな…」猫沢さんは、苦笑いしながら、小型端末に映したゴシップ記事を見せました。「随分と酷い事書かれてるなぁ…袋叩きだ『役立たずの研究者、星の恥』だってさ」「あぁ、可哀想にな、私なんざ『テラでエンジョイ無責任エンジニア』とか、ある事ない事好き放題に書いて幼稚にも程がある。だがな、そのフェイク記事の発信元を追跡したら、おもしろいもんを見つけたんだよ」「何だって?」「着いたら話すよ」二人は、猫居博士のいる建物に到着間近、「猫沢博士、猫谷さん、後方に不安定な正体不明の「波」を感知しました。気を付けてください」後部座席にすわるΣ-41のセンサーが反応する先をモニターに映すと、モヤっとする黒い何かが蠢いていました。猫沢さんは、何かを感じたのか、とっさに手を叩くと、肉球から不思議な音色が放たれたのです。すると、不気味な黒いモヤは微かな悲鳴をあげながら消えていきました。「消えた…!?一体どうやったんだ?」「ふふふ、詳しくは後で!」猫沢さんは、不敵な笑みを浮かべ再び手を叩くと、空間に流れていた音は消えてしまいました。[つづく]  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展「出会いと旅立ち」を開催しました。2021年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカード&原画は[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^) 茨城県大洗の「動物雑貨専門店only-shop」さんでもミニ原画等を展示発売中です。※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓↓↓

《大肉球曼荼羅 第2章⑨ナッツメック星の民》

お久しぶりです。更新が少し間が空いてしまいました。毎日寒いですね。皆様も風邪などに気を付けてお過ごしくださいませ。今回の画像は、ナッツメック星人の方々をご紹介します。猫の星の近くにあるナッツメック星、彼等は、猫達の作る文化や芸術が好きで、カンタスカラーナによく遊びに来ます。猫の星のお祭りに参加する様子が記録された貴重な1枚、ユニークな顔立ちと外見をしています。(この作品は、お迎えされ手元にはありません)では、物語の続きをお楽しみください。《大肉球曼荼羅 第2章⑨ナッツメック星の民》異星友達のナッツメック星人が、猫沢さんの研究所へ向かっていました。ちょうど彼等は、噂を聞き付け街にやって来ているのです。そう…アンニャミラーカフェ「猫沢博士、ナッツメックの方が来ています」「通してくれ」猫沢博士は、久々に会う友にウキウキしています。テラ帰還以来、様々な来客があり、何かと忙しいのです。「ようこそ!お会いできて嬉しいです」猫沢さんは、ニコニコしながら応接室に通します。3人のナッツメック星人は、黄色い肌に少し縦に圧縮したような三日月のような顔かたち、つぶらな瞳、カラフルな衣装をまとった宇宙人彼等は、猫沢さんの研究音源発表会があると、必ず来てくれます。「猫沢博士、長きに渡る異星での任務お疲れさまでした」リーダー格らしき年長者のナッツメック星人が、お互いの手のひらを合わせ挨拶をしました。「博士、大変な旅でしたね。私達も、あなた方のミッションの成功と無事を、ずっと祈っていました」「ありがとうございます」ナッツメックの民は猫沢さんの肉球を、ぎゅっと握ると、彼らから伝わる「波」が、とても柔らかで優しく包みました。皆が席につくと、秘書の夏音(なつね)さんが、コフィーと共に持ってきたのは、先程のスィーツ…職人猫の技術の結晶が輝きます。「これは美しい、噂には聞いていましたが、想像以上です!」「アンニャミラーカフェ本店の入手困難の限定品です」ナッツメックの民は、美しいもの鮮やかなものが大好きなのです。「私達は、この店に行きたかったのですが…どこも行列で…猫沢博士は、なぜ…これを?」「私の友猫が、偶然差し入れてくれたんですよ」「これを…私達が貰ってもいいのですか?」「もちろんです。あいにく、私達の星の民には、消化の難しい物質が使われてましてね…」「ウトゥサ…ですね。なぜ、この店は、これを使い始めたのですか?あなた方は、大丈夫なのですか?」「いえ…。この物質に不馴れな若い店主が…誤って手を出してしまったのですよ…他の材料は上質なものなのに、非常に残念です…」猫沢さんは、芸術品のようなスィーツを眺めつつ、コフィーを口に含みました。「確かに…あなた方にとって、あの物質は、激しい依存症を起こし、血液を汚し脳神経を狂わせます…」「ジェイムさん達は、その逆で生命エネルギーに変えられます」室内の空気が一瞬、止まります。「あ、どうぞ、どうぞ、召し上がってください」一瞬、話がそれてしまいそうだったのを引き戻し、客人への、もてなしを思い出した猫沢さん「いただきます」「まぁ!!!とても甘くて美味しい!!」「噂以上の美味しさです!」ナッツメックの3人は、満面の笑みで頬張ります。が…「確かに絶品ですね。しかし…このスィーツに使用されているウトゥサは…今まで食べた物より刺激が強い印象を受けます…」ジェイムさんは、首を傾げました。「なんですって…??」猫沢さんは、目をクリクリさせました。「私達の機関で一度調べてみます。これは確かアイドルの子猫の事務所と提携している健全な物だと思ってたのですが…ウトゥサが入っていると聞いて疑問に思っていたのです。猫沢博士、何か御存知ではありませんか??」「実は……」「なんと奇っ怪な!あの子猫は一体何者なのです?」ジェイムさん達は、ただのかわいい子猫だと思っていただけに驚きを隠せない様子「解りません。ただ、あの子を見ると、私が幼い頃に感じた、あの感覚がよみがえるのですよ…」「カルカナル時代…ですか?」「はい、よく御存知ですね」「あなた方の苦難の時代は知っています…心を盗られ囚われた猫達の悲劇は、私達の星でも語り継げられていますから…」「私は、カルカナル末期の時代に生まれたのですが、その断片は街のかしこに残っていました…その断片が、現代に再び集まりかけているような恐ろしい感覚が、時折、私を襲うのです…」猫沢さんは、一瞬、泣きそうな表情を見せたかと思うと、すぐさま、通常の表情に戻しました。「猫沢博士、私達も協力します」「ありがとうございます」その頃、三毛野くんは…研究所を休み例の友猫と、アンニャミラーカフェに来ていました。彼の友猫は、熱狂的なロドニアファン、ブロンドのストレートロングヘアーに水色のクラシック ロリータワンピース、あどけなさはありますが、美しい顔立ちの白猫、自宅で暗く引きこもりがちだった彼女は、カフェがオープンし、三毛野くんを誘い出掛ける日々が増えたのです。彼は、猫沢さんの約束を守り、例の装置を彼女の自宅付近に設置し彼女の変化を、報告しているのです。すっかり明るくなった彼女、アンニャミラーカフェのスィーツを食べると、更にハイテンションで元気そのもの、三毛野くんはスィーツは食べず、ドリンクだけを飲んでいるのです。「ねぇ、三毛野くん、今度、ロドニア君のコンサートがあるの!一緒に行こ!!!」「いつなの?」「ダーニャの日なの」「ダーニャの日?あのね、僕、その日は博士の手伝いがあるんだ。悪いけど一緒に行けないよ」「博士って?」「猫沢博士…ほら、あの、テラへ調査しに行った…僕、今、ここの研究所で働いているんだ」「え、あの猫の所にいるの…?サイテー…あの猫達って結局、イクサフィーゴ持ち帰れなかったし、この星、何も変わってないじゃん!」「違うんだ、イクサフィーゴは、カンタスカラーナの新たな時代を迎える為にテラに飛び立ったんだ!」「ウソ!じゃあ、あの猫達は一体何しに行ってたの?イクサフィーゴを連れ戻しに行ってきたんじゃなかったの?1個だけ戻ってきたけど、また消えちゃったし!手ぶらで帰ってきただけじゃない!私達、イクサフィーゴが無くなって大変だったじゃん!!私、あの猫達、大キライ!!!!」「アーリス!そんな事言うんじゃない!最初は回収目的の調査だったのは本当だけど、けれども彼等に会って調べていくと違ってたんだ。イクサフィーゴ達は、本当なら30年前にテラに行かなきゃならなかったって…僕達は大切な事に気づかなければいけなかったって…」「そんなのウソ!彼等はミッション失敗したんでしょ?」「ウソじゃない!!!失敗じゃない!!!」三毛野くんは、一瞬、怒りに奮えました。彼は、猫達の一部では、イクサフィーゴが帰って来なかった事を「回収任務失敗」だと、良からぬ噂を流している者達がいると、もちろん、猫沢さん本人も、その事は知っていますが、あえて彼等に何かをするとか抗議する事はしませんでした…。友猫のアーリスは、すっかり信じ込み、猫沢さん達クルー全員を恨んでいるのです。「残ったイクサフィーゴも、病気になっちゃってるし、大昔のイクサフィーゴはヨボヨボだし、私達の星のエネルギーは半分以下になってしまってるのよ。それで、どーして、あの4つのイクサフィーゴ達は私達の星を見捨てて行っちゃったのよ?」「アーリス…今の生活は、とても不自由なの?」「もう、慣れちゃったわ、不自由はないわ…でも、あの猫達は許せないの…」「アーリス、聞いてくれ、今の君の、その怒りの感情は、残ったイクサフィーゴ達を苦しめているんだよ」「どう言う事?意味わかんないよ」彼女は、困惑気味です。三毛野くんも、最初、猫沢さんから、その事を聞いた時は意味が解りませんでした。テラとカンタスカラーナの関係や、歴史を教えてもらい、ようやく理解する事が出来たのですから…「あの頃の僕達は、あれが当たり前だと思ってた。けども彼等が居なくなって当たり前が無くなった…きっと、この意味は、今の君には分からない…でも、ちゃんと解る時がくるよ…とにかく、落ち着いて、猫沢博士達は失敗したんじゃないんだよ」「そんなの信じない…ロドニア君は、イクサフィーゴよりも、もっといいエネルギーシステムを作るって言ってたんだから…もう、イクサフィーゴいらない…」「え?!?」三毛野くんの表情が凍りつきました。(つづく)  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展「出会いと旅立ち」を開催しました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)     猫の額さんのHPは、ここをクリック↓ ↓↓