《大肉球曼荼羅 第2章④吟遊詩人猫ハーオス》
台風が近づいてくる今日この頃です。
日に日に気温が下がっていき、とうとう暖房を入れてしまいました。
茨城県の大洗シーサイドステーションにて開催された「うみのまちアート展」が、無事に終了いたしました。ご来場くださいました方々ありがとうございました。また、近々展示を予定していますので、お楽しみにしていてくださいね。
画像は2019年度個展作品、タテゴトウオを弾く猫沢さん。
この魚を奏でる事が出来る猫は少ないと言われています。
では、物語の続きをお楽しみください。
《大肉球曼荼羅 第2章④吟遊詩人猫ハーオス》
猫沢さんが、必死に謎の楽器と格闘している頃…
猫居豹之助博士達が[橋渡しの民]達に、ついて調べていました。
彼の先祖に当たる、猫居虎之助は、カルカナルの魔の手から、カンタスカラーナを救った猫であり[始まりの猫]と言われています。
[橋渡しの民] 謎多き宇宙の旅人…
猫居博士は、調査の合間、風さんの店「カフェ&バー虚空庭園」で休憩中…
「豹ちゃん、空(くう)を呼ぼうか?」
「いえ、仕事中でしょ?」
「研究室から追い出されて、しょげてるそうだよ」
「追い出されたって…??何かやらかしたんですか?」
「虚空庭園で貰った楽器がうるさくて、叱られたんだとよぅ、仕方ないから練習してるんだってさ」
風さんは、笑いながら、コフィーを出しました。
「あの虚空庭園で貰ったですって?凄いじゃないですか‼持ち帰れたんですか…?練習してるんなら邪魔したくはありません。そっとしておいてあげてください」
「楽器はね、体の一部になってたから、持ってこれたらしいよ」
「体の一部に!?!?」
「まぁ、詳しくは会って聞いた方がいい、私では説明できん」
風さんは、焼き立てパニャーンのミーナッツバター増し増し添えを、コトリと置くと、猫居博士は、あっという間に平らげてしまいました。
「風さん、[橋渡しの民]って、ご存じですか?」
「空から聞いたよ。星の危機を救うために旅をしてる民だそうだね」
「はい、虎之助博士も[橋渡しの民]でした。彼等は、星の形態に合わせたボディに生まれ、任務を遂行していく民です。しかし、過去の記録は残っていても…現代の彼等を探すには手掛かり乏しく、とても難しいのですよ…」
「え?そうなのか?血縁猫が受け継ぐとかじゃないのか?」
風さんは、目をくりくりさせます。
「いいえ、バラバラですよ。任務を遂行すると決めたチームは、それぞれの肉体を持ち生まれ降ります。約束の時期が来ると覚醒し現地集合するんだそうですが…星によっては会えず仕舞いで一生を終える事もあるそうです」
「なんとまぁ…」
「テラの場合は、難易度が高い為に多くの[橋渡しの民]達が存在しています。しかし、私達の星では、テラよりも難易度が、低いらしく、そんなにいないのかもしれないのです…実際、虎之助時代では、彼等を含め10チーム位だったと記録されています。各チーム3~10人で構成され、総勢100人いるかいなか…ですね。テラは、1000チーム…いや、それ以上との報告をうけています…何か手掛かりでもあれば良いのですがね…」
猫居博士は、遠い目をしてコフィーをすすります。
「いらっしゃいませ」
入ってきたのは、今時、珍しい旅猫スタイル、つばの広い帽子に年期の入ったマント姿、カウンター席に座ります。
「マスター、いつもの…」
少し喉が枯れているのか、ハスキーボイス、帽子脱ぐと端正な顔立ちのロシアンブルー、ブロンドのロングヘアー
「はいよ」
風さんは、馴れた手つきで、常連客らしき猫にドリンクを準備します。
猫居博士は、一瞬見とれてしまいました。
とても、美しいのです。
「ハーオスさん、昨日は、どこで歌ってらしたんですか?」
「IZA地区の広場です」
「ほう、随分遠い所まで行ってたんですね。今度、うちの店でも歌いませんか?」
「いいんですか?私のような者が、ここで歌っても?」
「大歓迎です。6日ほど前でしたかね?MIRAI地区の公園で歌っていたのを聴きましたよ」
風さんは、ニコニコしながら、キャトミンティーと、ニャンベリーコーツと言うデザートを、旅猫の前に置きます。
「貴方の歌声は、心に優しく響き、不思議と懐かしい…」
「あ、ありがとうございます!」
旅猫は、パァーっと笑顔になり、ニャンベリーコーツを美味しそうに頬張ります。
「あの、どんな歌を歌われるのですか?」
猫居博士は、思わず声をかけました。
「ふふふ、他愛のない歌ですよ」
彼は、少々照れ気味で答えると、キャトミンティーを一口飲みました。
「!?」
突然、猫居博士の通信端末に、連絡が入ったよう…
猫居カンパニーからの呼び戻しのようです。
「風さん、急用が入ってしまいました。例のお話は、またこんど」
「あぁ、今度は空も一緒に交えてな」
そう言うと、小走りで、店を出ていきました。
その頃、猫沢さんは…
「よ、ようやく、コツがつかめてきたぞ!!」
空間を猫パンチしたり優しく弾くと美しいメロディーが弾き出され、とても、上機嫌です。お陰で、ダーニャの美しい曲も楽々演奏できるようになりました。
「でも、博士、相変わらず、止められないじゃない♪お外に出られないね♪」
ΣS-8は、無邪気につっこみます。
「そうなんだよ…取説も見つからないし…」
しょんぼり猫沢さん…そして動き回ったのか、お腹が鳴っています…もう、そんな時間。
突然、内線が鳴ります。
「博士、花音(かのん)さんが、応接間で、お待ちです」
「花音さんが…?」
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を2019年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。2020年は、同会場にて、木元慶子さんとの二人展「出会いと旅立ち」を開催しました。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードや原画は[猫の額]さん、茨城県大洗の[only shop]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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