星を繋ぐ猫達 《第6章④ ストーンブロック》
新年度ですね。桜の開花は少し遅いようで、まだまだ寒さを感じます。
画像は、2017年6月に、東京 高円寺で開催される個展の案内DMです。現在、猫の額さんを始め都内各所に設置されています。
今回のDMは、明るさ際立つ柔らかなものになり、気に入っています。毎年、DM製作をお願いしている。デザイナーさんに感謝です。
では、お楽しみください。
《第6章④ ストーンブロック》
宇宙船に戻った猫沢さんは、サンプル1号である作者の体内スキャン映像を解析していました。
「まだまだか…漬物石(ストーンブロック)の蓄積スピードは以前より落ちたが…相変わらず、除去が追いつかない…」
猫沢さんは、少々曇った表情です。解析を手伝っている、猫庭博士が、手を止め、言います。
「蓄積原因のひとつと言われているのは、これですね…」
ポケットから、なにやら錠剤の入ったケースが…
「それは?」
「頭痛薬です…減りが激しいようですね…成分分析したいと1錠譲って貰いました」
「あの時「減らす」と言っていたが、まだ飲んでいたのか…」
溜め息混じりの猫沢さん。
長年、偏頭痛に悩む作者は、頻繁に服用し、頭痛薬で頭痛を引き起こす、負のスパイラルから抜け出せないのです…その為、薬局で買い求めるのは、安価なジェネリック薬品…食生活を改めた折に、飲む量を減らすため、わざと正規品の少ないタイプに切り替えてもなお、時折、頭が痛くなる不安から、なんとなく気分が優れないと、そして数日間の間、毎日、1錠から3錠を服用し続けるのです。
再び、服用しなくても良い状態になるまで、通常者の倍のエネルギーを使い、回復に向かうのです。
「薬の副作用や仕組みは、頭では理解しているつもりだが、脳神経がやられて、少しでも痛みを感じると、不安になり自動的に服用してしまう…まるで、ジャンキー状態だな…」
「その為、胃腸や肝臓に負担がかかり、疲労感が襲い無気力な状態で生活していますね…」
猫庭博士は、薬の分析結果を見つめていました。
「これはヒドイですよ…カルカナル時代を思い出します。猫沢博士、早く連続服用を止めさせてあげてください…」
猫庭博士は、涙を浮かべています。彼らの星では、どんな悲劇が起きていたのでしょうか…?
「私の力では無理だよ。サンプル1号自身の意思が動かない限り…過度な手助けはしてはいけない」
「そうでしたね…あと、もうひとつ漬物石除去を妨げる物がありますね…」
猫庭博士が、次に取り出したのは、お菓子の包み紙です。
「砂糖か…テラビト達にとって、最も魅惑的な物質だ…サンプル1号は、ほぼ毎日のように、甘い何かしらを摂取している。1度、食べないようにと数日間、摂取制限した実験があるが、大変な禁断症状が出てしまった…脳が、発作を起こすのさ…これらの中に含まれる、砂糖だけではない様々な物質達が、1号の体を支配している…」
「私の祖父の、ウトゥサ中毒と同じですね…」
猫庭博士は、幼少時代、部屋の片隅で、こっそり、甘い菓子パンのような物を食べる祖父の姿を、思い出していました。
ウトゥサとは、地球で言う砂糖と同じ分子構造の薬品で、かつて、猫の星でも食品の中に大量に使われていました。現在は、劇薬指定の危険物質として扱われ、安易に手に入りません。地球では、普通に食品として売られているのを見た猫達は、びっくりしてしまったほど、強烈な物質なのです…。
猫沢さん達は、とっくの昔に、それらの解決法を知っているのですが、転ばぬ先の杖は、渡してはいけないルールがあるのです。
「現在のサンプル1号の食事内容ですが、このまま行けば、改善どころか、悪化しますね…?」
「そうだな…しかし、1度、思いきり転んでもらわなければ、サンプル1号は気づかない、そのまま、様子を見よう…漬物石除去は、まだまだ時間がかかりそうだが、致し方ない…」
二人は、花音(かのん)さんが入れてくれたハーブティーを飲みながら、仕事を進めていました。
2014年当時の、作者の食事内容とは…?一体どんなものだったのか…?
(つづく)
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、昨年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定!既に準備は始まっています。お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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