星を繋ぐ猫達《第6章⑥ 猫沢博士のサンプル1号観察記録 再び…後編》

桜を見ると春だなぁと感じます。四季のある国、日本人か生まれて良かったと思う瞬間です。

さて、観察レポート後半です。このレポートは、作者が2014年末~2015年の春辺りの状態が綴られています。お楽しみください。

画像は、2013年製作「山頂晴れて」です。よく見ると色々、描き込まれています。

猫沢さん作品のポストカードは、高円寺、猫の額さんで、好評発売中です。

個展のお知らせ。

6月23日(金)~7月5日(水)

会場、高円寺、猫雑貨&猫ギャラリー猫の額さんで開催。(在廊日時が決まり次第、お知らせ致します)

《第6章⑥ 猫沢博士のサンプル1号観察記録 再び…後編》

この時期の1号は、野菜中心の食生活に切り替え、減塩薄味を意識し、調味料を見直し、非常に良い結果を出していた。

同時に、咀嚼回数を増やし、少し顔の輪郭がシャープになり、全体的に痩せたようだと、回りに言われ上機嫌であった。

しかも、今まで、虫歯になりやすく、歯科検診へ行くと、必ず、虫歯が見つかり治療していたのだが、今回の検診ではゼロと言う、輝かしい結果を得た。

咀嚼回数が増えた事による、唾液(酵素)の分泌が増えたのも、大きな要因だ。

…全て良好に見えた。

「体が軽くなって楽になった!」と、言いながら、元々、色白な肌質ではあるが、色白を通り越し青白く血の気がない…、1号が勤める仕事仲間には、しょっちゅう「顔色悪いね。疲れてる?」と心配されるレベルだが、本人は、意外と元気なのだ。以前よりも、疲労感は軽減したと喜んでいる。

元気な上に、思考も穏やかになってはいたが、時折、みぞおちのチクチクした痛みに襲われたり、なんとも言えぬ、耐え難い背中の激痛や、逆流性食道炎が、なかなか改善しない事に悩んでいた。

休日となると、その元気さが影をひそめ、気持ちは出掛けたくても、体が、付いていかないと言う症状や、時折、漠然とした悲しみや不安感がのしかかり、精神面は良好とは言い難い、それらの改善の兆しはない。

好調と不調を行き来しているが、
確かに、何かしらの成果は出ている。しかし、時折、回復の連携を断ち切る行動を取るのだ。

甘いもの好き。

これも、漬物石増殖の原因のひとつである事は、この物語の読者である君達は、既に、お馴染みだろう。

1号自身、自覚はあるのだが…

「甘いもの好きは、どうしても止められない、止められるなら止めたい」と、仕切りに言うのだ。

それで、私は、提案した。

「実態を知ってしまった故の葛藤ですね。のちに影響があると知っても、中毒者が急にやめてしまう事は無理でしょう。では、こうしましょう。甘いもの摂取後に、ミネラル豊富な天日塩を摂取しなさい」

と、決して、専○公○の化学的に精製された、塩化ナトリウムではない…海水を天日で干したり、鉄釜で煮詰めて形成された結晶の事だ。

仕組みは、こうだ、精製された砂糖成分を摂取すると、血糖値が急激に上がり、インスリンが大量に分泌され、一気に元気になる。同時に、中和する為に大量のミネラルが使われ、体外に排出されてしまう、その為、タンクが底をつき、血糖値も下がる。再び、血糖値を上げる為に、アドレナリンが放出され、甘いものが欲しくなるのだ。ところが、アドレナリンが過剰に放出されると、思考停止を招き、頭が働かない状態を引き起こしてしまう。

常に、浅い思考で、行動し短絡的判断しか出来ない…ゆえに、キレやすく短気になる個体も、多数、確認されている。1号も、短気ではないが、これらの項目に当てはまる。(テラビトに、個体差がある事を念頭に置いてほしい、統計的に見て割合が多いだけだ)

体内では、常に、飢餓状態であり、欠乏した物を補う為の行動ではあるが、このサイクルには、大きなリスクを抱えている事は、テラビト達に、広く知られていない…。

いや…知らされていないのかもしれない…。

砂糖摂取で、失われたミネラルを、天日塩で補う、それだけで、かなり軽減される。ほんの微量のミネラルでは、あるが、大きな働きをする大切な物質である。

やがて、1号は、新たな疑問にぶつかるだろう。この先の行動を、注意深く観察する事にした。

まだまだ、問題は山積みである。

私達は、宇宙組合のルールにのっとり、問題解決について、1号には、最小限のヒントしか与えない。

その分、除去は遅れてしまうかもしれないが、心配はいらない。

他のテラビトサンプル達の中には、1号よりも数倍優れた個体達が居るのだ。漬物石蓄積が少なく、松果体、心臓、丹田等のアクセスコードが、開通済みであり、カルカナル磁場に風穴を開ける為に、既に水面下で、動き始めている事だけは、知らせておこう。

1号は、残念な事に、その素質はあるのだが、蓄積量が多く、私達の放つ情報の、ほんの一部しか受信できず、理解できない。

何故、そんな、低レベルな個体をサンプルとして選び、カンナスカラーナ広報担当に抜擢したのか、君達は、疑問に思うかもしれないが、今に解るだろう。 


これで、観察レポートは終了し、1号に筆を戻す。

[つづく]

猫沢さんの観察レポート…的確で的を獲てるだけに、刺さります…(T△T)

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