星を繋ぐ猫達 《第8章⑬ ミッション2 村人ABCその他大勢作戦》
4月になりましても、やや寒暖差はげしく、半月以上早く、藤の花や八重桜が咲き始めています。
体調崩しがちな、気候ですね。お気をつけて、お過ごしください。
画像は、正式な、個展DM葉書のデザインです。今年も、猫の額さんで開催します。よろしくお願いします。
では、物語の続きを、お楽しみください。
《第8章⑬ ミッション②村人ABCその他大勢作戦》
寅次郎博士の自宅では…
博士の作った蕎麦の横に、神楽屋から出前に取った山菜の天婦羅やサラダやデザート等、テーブルは賑やかです。
神楽屋での昼食も良いかと思ったのですが、事が事だけに、やめておきました。それ以前に、毎日、行列が出来、遠方から蕎麦を食べにやってくる人達の為に、席を空けておきたかったのです。
「寅次郎せんせ、お蕎麦、美味しかったです!」
サリーは、三段のざるそばをペロリと食べてしまいました。
門田さんは、ざるそば1枚、千寿氏は、かき揚げ乗せ蕎麦、猫沢さんと猫谷エンジニアは、特別わんこそばセット。
食後の雑談と、作戦会議開始です。
「せんせー、人が石になるって、どう言う事ですか?」
「石灰化だよ」
「石灰?」
「体内に、あらゆる条件が重なり、本来とは、全く違う場所で蓄積して、固まってしまう現象だよ。まだ、他にもあるがね…」
「石灰って、あの白いのですか?」
「そうだよ。リン酸カルシウム。それが、蓄積してしまうと、激しい痛みに苦しんだり、機能が狂ったり誤作動を起こし、正確に働かなくなってしまうんだよ…」
「たとえば?」
「ここに溜まれば、睡眠障害や、物忘れ、ここに溜まれば、痛風」
寅次郎博士は、頭と足を指差しました。
「まさか頭から爪先までですか?」
「あぁ、しかし、この成分は人体を構成するのに、必要不可欠ゆえに、増えすぎれば、自分自身を傷つけてしまう。特に、頭のまん中あたりにある、小さな気管は、致命的さ。生まれた頃から、いや、生まれる以前から、うまく機能しないようにされているんだよ…」
寅次郎博士は、手のひらに現れた球体の中に、映像を映しました。現代人の脳の神経伝達網です。おびただしく光がスパークしています。
「生まれる以前から機能させない?…どう言う事ですか?」
「サリーちゃんは、歯みがき粉は、なに使ってる?」
寅次郎博士は、突拍子ない質問に、面食らいました。
「え?えっと、スーパーとかで、普通に売ってる歯みがき粉ですよ?ムーンスターでしたっけ?」
「なるほど、それらの中にも、ヒトの機能を弱らせる物が、紛れているよ。調べてみなさい」
「え?えー!?単なる歯みがき粉ですよ?」
サリーは、驚くばかりです。
それを見ていた、猫沢さんは、思わず、口を開きました。
「…このような現象は、かつての私達の星でも起きていました…ウィラード家(カルカナル)は、自分達の手を汚す事なく、猫達をコントロールしていた時代と、よく似ています…」
猫の星の過去を話す、猫沢さんを、アルハンゲルは、静かに見つめていました。
アルハンゲルが、猫の星で生きていた頃、吟遊詩人ケイオスの名で、星中を旅していました。 彼の奏でる音色は、とても不思議で、猫達の心を癒し、時には、カルカナルと戦う戦士として、熱い支持を受けていました。
猫沢さんは、子供時代、彼の音楽の魅力に引き込まれ、音とは波のひとつである事を知り、現在に至るのです。
「そうだったね。しかし、その話題は、少し後にしよう」
寅次郎博士は、ポンっと手を叩きました。
「話を戻そう。次の作戦は宇宙船の修復が終わるまでの間、私達は、何も知らないフリをしなくてはいけない」
「え?」
寅次郎博士の突拍子ない作戦に、サリーは、キョトンとしています。博士は、構わず、話を続けます。
「ところで、千寿さん、聞きたい事があります。仲間の研究員達は、宇宙人に対する偏見は、持っていますか?」
「ありません。彼等は、学生時代のUFO研究会の悪友。考古学のエキスパートです」
千寿氏は、ニッコリ笑ってみせました。
「たのもしいですね。彼等は、もうすぐ、村長の自宅に到着しますよ」
「え?千寿さんの家ではないのですか?」
サリーが、不思議な顔をしました。
「おいおいおい、サリーちゃん、私達は、あくまでも、村人ABCその他大勢の役だよ。でしゃばったら怪しまれるだろ?」
寅次郎博士は、困った顔で言いました。
「あ!」
察したサリーは、思わず、周りをキョロキョロしました。
「こう言う土地は、すぐに、うわさが広まる。何を言われるか、わかりゃしない。私達は、表面上は、ギャラリー役に徹する。表舞台は、村長にまかせておくんだ。それに、彼は、未知太郎(カミオン)の息子。あ、千寿さんは、これから村長の家に行って下さい。これから、自宅にお送りします。そこから、ご自分の足で行けば、怪しまれません」
「え?良いんですか??」
「これを持って、偶然を装うと良いでしょう。村長には伝えてあります。ぜひ彼等と会ってきて下さい」
寅次郎博士は、村の回覧板を渡しました。中身は白紙
「何から何まで…ありがとうございます…」
千寿氏は、深くお辞儀をしました。
「千寿さん、いきましょう」
寅次郎博士は、千寿氏を、車に乗せ、彼の自宅に向かいました。
橋渡しのメンバーと、猫沢さん達は、留守番です。
その頃、村長の家では?
「遠いところから、ようこそいらっしゃっいました。さぁさぁ、お上がりください」
村長は、調査隊達を、招き入れました。
3人の男性達は、客間にて、改めて、挨拶をしました。
「初めまして、私達は、東京から来ました。湯田(ゆた)です」
「宇津見(うつみ)です」
「蓬莱(ほうらい)です」
「私、神城村の村長の神楽です」
「今回の発掘調査の件は、鬼伝説の痕跡が見つかったと、お聞きしました」
リーダーであろう、湯田氏が、身を乗り出しました。
「はい、私達が、ここに住む以前に住んでいたとされる、鬼達の事を、調べて頂きたいのです」
「神城鬼伝説、とても有名ですね。彼等は、実在していた。と聞きます」
「はい、神社の裏に、開かずの蔵があり祠が見つかりました。そこに、古い村の書物や道具が出てきたのです。私達では、どのように扱って良いのか、分かりかねまして…調査依頼をさせていただきました」
「承知いたしました」
「調査中の、あなた方の宿や食事の手配は、こちらでさせていただきます」
「ありがとうございます」
しばらく、雑談をしていると…
チャイムが鳴りました。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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