星を繋ぐ猫達《第8章⑭ カンタスカラーナとテラ 》
お久しぶりです。個展準備の為に、更新が止まっておりました。
ただいま、6月8日から20日までの2週間、高円寺、猫の額さんにて個展を開催しています。画像の可愛らしい猫沢さんは、初の立体作品。猫沢博士の招き猫です。宇宙の神秘を招きます。
高円寺にお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。
では、続きをお楽しみくださいませ。
《第8章 カンタスラーナとテラ》
場面は、再び寅次郎博士の自宅。
留守番をしている橋渡しのメンバーと猫沢さん達は、雑談を弾ませていました。猫の星の話に興味津々の、門田さんとサリーは、話に聞き入っています。
「カンタスカラーナって、もしかして未来の地球の姿?」
星の歴史を聞いたサリーが、ポツンと言います。
「そうです。そうであってほしいのです…。そしてテラは、過去のカンタスカラーナの姿です。私達の星は、かつてカルカナルの手によって、支配されていました。現在、テラはカルカナルの手中にあります」
「なるほど…星の歴史は繰り返すのだな…私らの仕事が次から次へとやってくるのは、こう言う仕組みなのか…」
門田さんは、そう言うと、軽く腕組みをしながら、天井を見上げました。
「私達の星の異変が起きた時、テラの異常を感知しました。それを戻すために、この星に来たのです」
猫沢さんは、ミニチュアのイクサフィーゴを取り出しました。
「君達の星の異変?それは一体?」
「カルカナルの復活の気配です」
「終わった筈なのに?」
「まだ、完全には、終わってはいませんでした…カルカナルは、私達に新たな課題を示したのです…」
「え?」
サリーは、目を丸くしました。
「それが、テラでの私達の任務です。過去のカンタスカラーナの姿を映すテラで、課題をクリアするために…」
サリー達は、てっきり、高度な文明の猫の宇宙人達が、地球の危機を助けに来たのかと、思っていましたが…違う事に驚いていました。
カンタスカラーナは、現在、星の中央エネルギー供給システム[2代目イクサフィーゴ]が、ダウンした為、緊急で[初代イクサフィーゴ]を稼働させています。
その時に、星の東西南北に設置されたミニイクサフィーゴ4体が、忽然と消え、地球に落ちた事が判明し、回収の為に、猫沢さんは、地球にやってきたのです。
ところが、どうも、つじつまが合わない。何かが違う…
紐解いてみると、ミニイクサフィーゴ達は、寅次郎博士を追って、20年遅れて地球に飛び立ったのです。
猫沢さん達の、任務の内容が、一変してしました
そして今、寅次郎博士のもとで、彼等は、新たな任務を遂行しているのです。
「私達は、寅次郎博士の元に、ミニイクサフィーゴ達を集めたら、還ります」
「そうだったのか…ようやく、モヤモヤしてたものが晴れてきたよ…20年のタイムラグ…」
門田さんは、いまいち掴めなかった、寅次郎博士の話を、少しずつ理解したのです。
「現在のテラは、カルカナル磁場が強力です…」
猫沢さんは、エネルギー磁場を表した、ホログラム地球儀を取り出しました。
「この中に、すっぽり覆われてしまうと、テラビト達は、思考停止させられ簡単に操る事ができます。操られている事に気づかないまま、一生を終えてしまう…」
「操られてる事に気づかない?」
「そうです。この世界に存在する、ある特定の多くの物質達を体内に取り込み続け、一定量に達すると、個体差はありますが、体や心に支障や疾患を起こします。実に巧妙である為、加齢のせい位にしか思われません…。自然と、そうなるように仕掛けてあるのです。あなた方は、まだ、覚醒して間がありませんので、簡単に説明しますが、テラビト達の体内には無数のトラップが仕掛けてあります」
猫沢さんは、真剣な眼差しで、二人を見つめました。
「私達の体にも…ですよね?」
サリーは、不安げです。
猫沢さんは、うなずくと、
「先程、寅次郎博士が言っていた物質の他にも、様々なストーンブロックが存在しています。複合的に混じあった時に、発動します」
サリーが、身震いをすると、門田さんが、
「そのトラップは、私自身経験済みだわい…サリーちゃん位の年齢なら、回避出来るかもしれん…寅次郎さの書斎にヒントがある。探してごらん。あ、そうだ!」
門田さんは、サリーに1冊の本を託しました。
「これは、私からのヒントだよ。答えが隠れている」
ハードカバーの分厚いノートには、宇宙言語で書かれた文章が、ビッシリ書かれていました。
「これって…大切なものでは?」
「次の[橋渡しの民]への伝言のようなものだ、代々受け継がれている。読み終わったら、次の代の民に渡しておくれ」
「門田さん…これは一体どこで…?」
サリーは、パラパラとめくり、時折、手を止めます。
「20年前の展覧会の時に、私の絵を買ってくれた人物が、くれたものだよ。当時、私は覚醒していなかったものだから、訳が解らず、押し入れに仕舞いこんどったが、去年見つけてな…読んでみたら[橋渡しの民]の回覧用の報告書だったんだ…次は君達の番さね」
新しいページを開くと、寅次郎博士も書いていました。
サリーは、しっかりとノートを握り締めると、ソッと、バッグの中に仕舞いました。
「猫沢くん達の星にも似たような物があるはずだ。星に還ったら持ってる猫が居るだろう、探してごらん」
「と、言う事は…私達の星にも、まだ[橋渡しの民]の猫が居る。と言う事ですね?」
門田さんは、深くうなずきました。
車のエンジンが止まる音がしました。
寅次郎博士が、戻ってきたようです。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2018年の6月8日から6月20日まで、幻想の魚の秘密.第5弾を展示中。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)
0コメント