星を繋ぐ猫達《第三章 猫達の探し物》
旧正月 明けましておめでとうございます。
美濃加茂市、東図書館での1月21日~2月8日までの展示、来場くださいました沢山の方々、ありがとうございました。
さて、すでに、次の展示の準備を進めています。
物語も同時進行でバタバタしておりますが、がんばります。
では、続きをお楽しみ下さい。
画像は、猫伊虎之助博士と、イクサフィーゴです。
寅次郎博士が、カンタスカラーナで虎之助として活躍していた頃の時代です。
では、お楽しみください。
星を繋ぐ猫達 《第3章 猫達の探し物》
猫達は、驚きを隠せません。寅次郎博士の視線の向こうを注目します。
猫沢さんと、チャット博士は、ハッとして、ポケットを探り、小さな機械を取り出しました。
気づかないような、かすかに弱い反応が、示されていました。
「あ!ミニイクサフィーゴ!」
ミニイクサフィーゴとは、猫の星カンタスカラーナのエネルギー供給分配システム、ひょんな事が、きっかけで、カンタスカラーナから地球へ移動してしまい、行方不明になってしまったミニイクサフィーゴ達を、猫達は探しに来ていたのです。
猫達は、目を丸くします。寅次郎博士は、ゆっくりと紅茶をすすりながら、
「そう、イクサフィーゴの小型基だ。去年の春に、いきなり落ちて来たんだよ。この奇妙な魚のオブジェは、なんなんだと…?ジャッコ博士からは、イクサフィーゴの話は少ししか聞いていなかったし、映像を見せて貰ったのも随分昔だったからね…君達と遭遇し、カンタスカラーナの虎之助時代の記憶が甦った時、ようやく、思い出したんだよ」
寅次郎博士は、かわいい栗の形をしたケーキを一口頬張り、窓の外にあるブルーシートに包まれた物体を、懐かしむように見つめていました。
「思い出したのですね。では、我々の星の問題も解決法が!?」
猫沢さんは、目を輝かせます。
「それは、あのミニイクサフィーゴを動かしてみなくては解らない…あいにく、私は、これを動かす為の特殊な工具は持ち合わせていない…チャット君、君は、かつての私の子孫だと言ったね。君の力で、これを動かして欲しい、お願いできないかい?」
寅次郎博士は、チャット博士の目をジッと、見つめました。
「もちろんです!私にまかせてください!」
チャット博士は、張り切って返事をしました。
「寅次郎博士、ひとつ、気になる事があります」
猫沢さんは、かすかに反応する、ミニイクサフィーゴ探知機のランプを不思議そうに眺めています。
「なんだね?」
「こんなに近くにあるのに、この探知機の反応が、とても鈍いのです…私も、何かの間違いだと思って気に止めていませんでした…」
「ミニイクサフィーゴには、意志があるんだよ。反応しないように、わざと信号を弱めたんだよ…」
「なんの為ですか?」
「それは、私にも解らない…とにかく彼等は、意志を持っているんだよ」
会話を聞いていた、チャット博士が話しはじめました。
「あの…昨年、テラからカンタスカラーナに戻って来たミニイクサフィーゴ1基も、何も教えてくれませんでした…ただ「あなたもテラに行きなさい」としか…」
チャット博士は、カンタスカラーナで、唯一、イクサフィーゴ達と会話できる猫です。チャット博士は、幼い頃、大きな事故にあい、片目を無くしました。その時、脳の一部の信号伝達が変化し、イクサフィーゴと意志の疎通が出来るようになったのです。
「君は、イクサフィーゴ達と話が出来るのか!?」
寅次郎博士は、驚いていました。
「はい、彼等は、今も、あなたの事を尊敬しています。いつも、当時の話や、カルカナル時代の話を聞かせてくれました。ところが、今回の件に関しては、固く意思を閉じるのです…」
チャット博士は、悲しそうな表情で、寅次郎博士を見つめました。
「これは驚いた!」
「あ、探知機が!」
「あ、聞こえる!呼んでいる…呼んでいます!私達を!」
弱かった反応が、急に強くなりました。ミニイクサフィーゴが、信号を送って来ているのです。まるで、待っていたかのように…
「庭に出てみるかい?」
猫達は、寅次郎博士と共に、建物の外に出ていきました。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第二弾を、今年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表。2015年6月5日~17日に開催いたしました(^O^)
2016年の6月も、幻想の魚の秘密.第三弾を展示決定しました!既に準備は始まっています。お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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