大肉球曼荼羅《第1章⑨ニャーファーの滝》

緊急事態宣言も解除され、少しずつ日常が戻っていきます。たまにぶり返したり、騒動のさなか混沌のうちに進められていく何かしらの中を、私達は漂うように進みます。
 
さて、6月19日(金)~7月1日(水)に東京高円寺「猫の額」さんにて、木元慶子さんとの二人展示を開催いたします。ご無理のない範囲で、ご来場、又は、ギャラリーHP上でお楽しみください。作品のオンラインショッピングも可能です。(在廊は検討中です)
 
画像は、猫の星の「ニャーファーの滝」昨年の個展作品と二人展DMハガキです(木元さんに作っていただきました!!!)
 
では、つづきをお楽しみください。
 
《大肉球曼荼羅 第1章⑨ニャーファーの滝》
 
すっかり満腹になった猫達を乗せ、気持ちよく空を飛んでいるとユルく降下するマンタ達、視界に入ってきたのは、巨大な池の淵には大きな滝、1つや2つではありません。池の周りを囲うように何個もあるのです。
 
「ここは一番高い場所にあるニャーファーの滝です。滝の上は広大な池があり、雨水を貯め地下を廻り、地上を駆け抜け海を潤し、やがて、私達の元へと運ばれていきます」
「この池…もしかして、隕石の跡?」
「はい、星最大のクレーターです」
「おー綺麗だのうぅー!!虹だ!!虹が沢山ある!!!!」
 
風さんは、目を輝かせます。
澄んだ大気に浮かび上がる虹達、まるでドラゴンが舞い踊る姿に見え、しばし、見とれていました。
 
「素晴らしい…私達が住む場所では、こんなにクッキリした虹を見る事は出来ない…」
「空(くう)今は、そうでもないぞ、お前がテラに行っている間、電力供給が減って節電してる間に街の大気も綺麗になったせいか、ここほどではないが最近の虹は綺麗なんだよ」
「え?そうなの!?」
「お前が居ない間に、この星も変わったんだよ」
 
猫沢さん達が、イクサフィーゴ回収のテラ任務に就いたのは、テラ時間で2011年辺り、最初の1年は彼は単独で調査帰還、のちに、状況が一変し、再び大勢の調査クルーを連れ、再びテラへ…任務を終え帰還したのは、テラ時間で2015年辺り…猫の星で、換算すると…??
時空や周期が異なる為、テラ時間よりも、随分とゆったりしているらしく、2~3年経った…位の感覚のようです。
 
当時、猫の星では、テラ時間2011年、突然、イクサフィーゴ達4体は姿を消し供給不能となり星はパニックに陥りました。かろうじて、残されたイクサフィーゴのシヴァ一世とクローンの二世の2体が、猫の星の、生活全般を補うエネルギーを供給しています。
 
その為、今まで使っていたエネルギーを、半分以下に抑えた生活を、余儀なくされています。
 
猫達は、最初は大変困り果て、いつまでも復旧の目処が立たない上に、還ってこないイクサフィーゴや、猫沢さん達に腹を立てた猫達もいましたが、ある事に気づいた猫達は、少しずつ、変化していったのです。
 
「私達は、ひょっとして…何かを忘れてしまっていたのでは…?」
 
すると、大気は澄みはじめ、深き森から涌き出る水の流れが変わり、絶滅したと思われた生物達が甦り、各地で不思議な虹が観測され、自分達の住む星の事や、テラへの想いが変化したのです。
その話を聞かされた猫沢さんは、キョトンとし浦島太郎状態、
 
「知らなかった…任務中、猫居博士から「とても虹が綺麗だ」と言うメッセージが頻繁に来ていたが…こう言う事だったのか…しかし、猫達のテラへの想いが変化したにしては、テラの状況には変化はなかった気がする…それに、いまだカルカナルの芽が…」
 
「猫沢博士、間もなく到着します!」
 
猫庭博士が、二人に声をかけると、降りる体勢を整えます。
 
旋回し、カンタスカラーナシダーの長(おさ)の元に到着
飛行時間は、半日近く長き片道…
 
ほとんど猫達が踏み入れない未開の地の、巨大な長の木は、大地を、しっかり抱くように根をうねらせ、長い年月、星を静かに見守っていました。地球に生息する屋久島の杉の木の親戚にあたると言う、驚くべき事実…
 
「すごい…こんなに大きいのか…!?」
 
猫沢兄弟は、初めて対面する長の姿に、しばし、言葉を失いました。
猫庭博士は、ニッコリ微笑むと、彼等を静かに長の根元に誘導します。
 
(つづく)
 
 
  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を、昨年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

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