星を繋ぐ猫達 第5章 《緑の幾何学曼荼羅》
物語は、次の章に入ります。では、続きをお楽しみ下さい。
画像は、2016年個展作品[橋0しの民 風天寅次郎(かざまとらじろう)]彼の横にいる猫は、アルハンゲルです。
使用画材、三菱ユニポスカ コピック
《第5章 緑の幾何学曼荼羅》
寅次郎博士は、猫沢さん達と、コンタクトを取った翌日、自分の住んでいる村から少し離れた村に出掛けました。
そう、例の[橋渡しの民]の仲間。門田たかしと言う男性を訪ねに。
寅次郎博士は、村人に訪ねながら、辿り着いた彼の自宅は、昔ながらの百姓家屋、車庫には、軽トラが一台停まっており、放し飼いの鶏達が、不思議そうに、寅次郎博士を見つめていました。
「ごめんください」
玄関先にたたずむ寅次郎博士、返事はありません。外出中なのかと、しばらく、待ってみる事に…
すると、隣接する小屋の中から、小柄でポチャッした白髪の男性が現れました。
「なんか用かね?」
「あ、こちらは門田たけしさんのお宅でしょうか?」
「あぁ」
「たけしさんは、ご在宅でしょうか?」
「わたしだが?あんたは?」
「私は、隣の隣村の風天寅次郎と申します。私の師匠が、生前、あなたに、お世話になっていた事を知りまして…ご挨拶に参りました」
「師匠?」
「神楽未知太郎師匠です…私は、一番弟子でして…」
門田さんは、キョトンとしていましたが、思い出したのか…
「あぁ!神楽屋の!みちたろさは、元気か?」
「10年前に亡くなりまして…」
「…あぁ…そうか…亡くなったのか…」
「102歳の若さでした…」
「102歳!?大往生じゃないか…で、あんたは?なぜ、私を訪ねて来たんだね?」
門田さんは、不思議な顔をしていました。
「先日、神楽師匠のお孫さんから預かった遺品の日記に、あなたの事が書いてありまして…いても立っても居られず、訪ねに参りました」
「日記?まぁ、立ち話はなんだから上がっていきな」
そう言うと、玄関を開け寅次郎博士を、囲炉裏のある居間に通し、熱々のお茶と、囲炉裏で炙ったの熱々の煎餅を出してくれたのです。
「みちたろさは、この煎餅が好きでよ。わざわざ、この村まで買いに来てくれてたんだよ」
「懐かしいです。昔、師匠が、厨房の炭火で炙って、醤油を塗って、おやつに出してくれました」
「ほう!食べた事あるのか?」
「はい」
寅次郎博士は、出された三枚の煎餅をペロリと平らげてしまいました。
「なんとなく、あんたとは、始めて会った気がしないんだが…どこかで会ってたかね?」
「そうですね。30年前位に一度、倉永井大学記念病院で、チラッと…あとは…」
「倉永井…?わたしの妻が入院していた所…」
「私は、当時、そこで働いていました。あなたが風邪を引いた時、診察した事があります」
「んー…確かに風邪で診察を受けたが…あんたの顔は覚えてないな…もとい、今のあんたの姿を、30年逆算して想像しても検討もつかねぇや…違う、もっと昔だよ…なんて言い表しゃいいんだ?」
門田さんは、困惑気味です。寅次郎博士は、おもむろに、鞄の中から日記を取り出しました。
「唐突で申し訳ありませんが…これ、読めますか?」
「!?」
渡された日記を広げた途端、門田さんは、カッと目を見開き、物凄い速度でめくり始めました。
寅次郎博士は、驚きます。
「あ、あんたは、これが読めるのか?」
「読めます」
「…これは、私の中の夢物語ではなかったんだな…本当の事だったんだな…!私は一体、何者なのだ…?」
「あなたの本当の名は、キノリア、私はラステライです。お久し振りです。ブラザー」
すると、門田さんの頭上で、何か、弾けるような音と共に、緑色の大きな幾何学曼荼羅が出現しました。
ブロック解除です。
幾何学曼荼羅と共に、数字や記号のような物が、眩いばかりの滝のように落ちていく映像に、門田さんは、目を白黒させていましたが、何かを、思い出したのでしょう。突然、顔つきが変わりました。
「待っていたぞ、遅かったじゃないか…」
[つづく]
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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