星を繋ぐ猫達 《第5章 再開の祝い》

雨が続き、まるで梅雨時のような秋空…秋ってこんな気候だったっけ?と首をひねる、今日この頃です。

画像は、2014年個展作品[幻想の魚の秘密]猫沢さんとイクサフィーゴ

使用画材 三菱ユニポスカ コピック

では、続きを、お楽しみ下さい。

《第5章 再会の祝い》

翌日、寅次郎博士は、門田さんを迎えに、再び車を走らせます。

招かれた門田さんは、寅次郎博士の自宅に、驚きました。小さいながらも立派な洋館、中に案内されると、アンティークな調度品の数々と数匹の猫達が迎えます。

大広間の扉を開けると、そこには黄金に輝くイクサフィーゴが静かにたたずんでいました。

「あれが…イクサフィーゴか…」

「門田さんは、始めて見るかもしれないな。私は、彼等の力を借りてカルカナル磁場を壊している」

「あぁ初めてだ。あんたとは元々、担当地区が違っていたからな…使う道具が違う…噂は聞いていたが、立派なもんだな…こいつは、桁違いの力を持っていると聞いたよ」

門田さんは、イクサフィーゴを、目を丸くして眺めています。大きな魚のような物体が、ケースの中に入っているのですから…

「あぁ持っているよ…その分、付き合いが難しい…本来なら4体必要だが…猫達が1年前に1体持ち帰ってしまった」

「一体?何故…」

「猫達の星と地球の間に、時空の歪みが生じて、留まらなくてはならなくなった…猫達の星には現在、合計3体のイクサフィーゴ達が居る。そして、人工的に生み出された養殖イクサフィーゴ達も存在する…それらはエネルギー供給システムとして稼働しているよ」

養殖とは、驚きです。猫達の技術は、凄いようです。

「養殖?エネルギー供給システム?私は、カルカナル磁場破壊装置と聞いていたぞ?風天さん…一体イクサフィーゴってなんなんだ?」

「破壊…一応、そう言う名目で行動を共にしている私自身も、イクサフィーゴと言う者が、本当はどういう存在なのか解っちゃいない。前回の任務では、彼等は、カンタスラーナで、猫達の生活を支える施設の一部になる使命を持っていた。その中で、地球での任務行きに賛同した者達を連れてきたんだ。なぁ、ビラーゴ」

寅次郎博士は、ガラス越しのイクサフィーゴの名前らしきものを呼ぶと、返事をするように輝いた。

「ビラーゴ?」

「個体名さ、彼等は意思ある生命体だ。門田さん、彼等を単なる道具ではなく、チームメンバーとして扱ってほしい」

「わかった。私は門田…いや、キノリアだ。ビラーゴ、よろしくな」

軽く挨拶をすると、イクサフィーゴは、挨拶をするように輝きました。仲間に会えた事を喜んでいるようです。

「さ、猫達がお待ちかねだ。応接間に案内するよ」

応接間では、カンタスラーナ星人達が、二人の到着を、今か今かとワクワクしながら待っていました。 

扉を開けた途端、目に飛び込んできた、カンタスラーナ星人達に、門田さんは、思わず駆け寄ります。猫沢さんが代表に立ち、

「ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです󾬄まさか、貴方も寅次郎博士の仲間だとは驚きました󾬄」

そう言うと、猫沢さんは、小さく柔らかな肉球を、そっと門田さんの手のひらに乗せました。ぷにぷに[猫の星流握手]です。

「久しぶりだのう、あの時はぞんざいな扱いをしてしまって、すまなかった…」

門田さんは、深く詫びると、猫沢さんは、ぷるぷると首を振りながら…

「いいえ、気にしないで下さい。カルカナル磁場の影響で、私達のような存在を、テラビト達には、拒絶させるように、思考プログラムされている事を知ってましたから…。改めて、自己紹介します。私は、猫沢空(ねこさわ くう)シリウス系第5惑星カンタスラーナから来ました。そして、私の仲間達です」

猫沢さんは、調査員達を簡単に紹介しました。

「私は、地球人名、門田たかし…本名はキノリア…橋渡しの民だ」

門田さんは、猫沢さんの肉球を、きゅっと握り返しました。

「門田さん、猫沢博士、今、蕎麦を茹でるから、待っていてくれ」

寅次郎博士は、蕎麦茶を振る舞うと、スタスタと厨房に向かいました。

「んまい!」

門田さんは、蕎麦茶に舌鼓を打ち、猫達と共に、蕎麦が出てくるのを待っていました。

カンタスラーナの猫達も、初めて、寅次郎博士の蕎麦を食べる事になります。

[つづく]

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

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