星を繋ぐ猫達 《第5章 合同猫会議》

猫が膝に乗ってくる季節になってきましたね。いかがお過ごしでしょうか?

画像は、2014年個展作品[猫伊虎之助博士とイクサフィーゴ]です。

《第5章 合同猫会議 》

資料を手際よく広げる寅次郎博士と猫沢さん、いよいよ、イクサフィーゴ捜索作戦&カルカナル磁場破壊作戦会議が始まります。

「本日は、緊急異星間会議に、ご参加くださりありがとうございます。私、議長を勤めます。地球代表の風天(かざま)寅次郎です」

「副議長を勤めます。カンタスラーナ星代表の猫沢空(ねこさわくう)です」

二人が、ペコリとお辞儀をすると、門田さんと猫達もペコリとお辞儀をします。

「さて、今回の議題ですが、現在、私達の住む地球では、巨大なカルカナル磁場が発生し、我々地球人達に大きな影響を与えている事に加え、カンタスラーナ星での、カルカナルの影響の関連性についてです。まず、これらについて軽く説明します。猫沢博士、お願いします」


寅次郎博士は、猫沢さんに話を振ると、神楽師匠が残した記録帳の付箋部分を広げていきます。

「はい、私達の住む星では、現在、中央イクサフィーゴが停止し、テラ時間で1年半が経とうとしています。同時に東西南北に配置したイクサフィーゴ4基も姿を消してしまいました。そして私は、テラに移動してしまった彼等を捜している事を、猫の皆さんは、ご存じだと思います」 

猫達は、うんうんと、うなずきながら、資料を見つめます。門田さんは、初めて聞く話を、真剣な面持ちで聞いています。

「本体が停止した時に現れた、大きな目玉…あれは、テラビト達が発した、歪んだエネルギーの影響で現れた現象と断定した私達は、テラビト達を調査した結果、彼等の内外部に蓄積された物質に辿り着きました…かつて私達の先祖を苦しめた物質です。通称、漬物石、正式名はストーンブロック…現在テラビト達は、あらゆる感覚を麻痺させられ、特定の思考ブロックシステムに押し込められています」

猫沢さんは、漬物石を視覚化した図を見せます。

「思考ブロック…地球人である我々は、その事に、なんら気づく事も自覚する事もなく、うっかり一生を過ごしてしまう。この世界を見たまま、そのまま、疑う事もなく、与えられた情報を信じています。一見、なんら支障もなく害もなく、平和にすら思える、特殊形成された周波数帯の世界を生きているのです。これがカルカナル磁場です」

寅次郎博士は、現在、地球人達が、カルカナル磁場が造り出した世界の中で、生きている事を説明しました。

「カルカナル磁場は、私達が、その事に気づく事を妨げる為、あらゆる手段で妨害し、勢力を上げてきている。奴等の活動を脅かす存在を次々と消していく…私達の仲間も、何名か消されている事だろう…」

寅次郎博士は、切なそうです。

彼等は、地球任務につく時、百人ほど選ばれ、小さなチームを組み活動するのですが、途中で命を落としたり、狙われたり、はたまた、覚醒を妨害され遭難し、ミッションを遂行しないまま帰還して来たりと様々なのです。

計画を、実行出来るチームは、とても少ないと、寅次郎博士は、神楽師匠が残した記録の中の、新聞記事の切り抜きを見つめて言いました。

学者や医師や活動家等のジャンル様々な著名人と言われる人々の、不自然な事故死や病死、行方不明、 暗殺事件等…物騒な記事ばかり… 

「これらは、私達の仲間…下手に目立ったり有名になると、奴等が潰しにくる…中にはうまくやっている者もいるが、苦戦を強いられている事だろう……」

「風天さん、偶然にも私達は、ただの蕎麦職人と農家の一般的なじじいだ。誰も怪しいとは思わないだろなぁ」

門田さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべていました。 

「確かにな、いつの間にか、ミッションに適した土地に住んでいるにも関わらず、無駄に年を取ってしまったと覚醒後に後悔したが…今、思えば、そんな事はなかった。今現在が、この時なのかもしれないな」

「私達もいます!お手伝いします!」

チャット博士が、目を輝かせて言いました。 チャット博士の先祖である虎之助博士は、現在の寅次郎博士であり、憧れの存在、猫達は、かつて星を救った英雄と共に行動出来る事に、誇りを持っていました。

今、この時を…皆は待っていたのです。

「ありがとう、心強いよ」

寅次郎博士は、笑みを返すと猫達の顔は、パァッと明るくなりました。

「さて、私達カンタスラーナ人の任務ですが、当初、ミニイクサフィーゴ発見次第回収し星に持ち帰る計画でしたが、発見後に稼働スイッチを入れ、テラに置いていく事になりました。それに伴い、任務終了後に帰還し、新たな任務につく事になります」

猫沢さんは、厳しい表情になりました。

「ウィラード一族…ですね」

猫達の表情は、一瞬にして硬くなります。
猫達の不安を和らげる為、寅次郎博士は、新しいお茶を注ぎつつ…


「彼等の力を阻止する為には、ミニイクサフィーゴ達をいち早く見つけ出す事だ。稼働させれば地球のカルカナル磁場に風穴があき、勢力が弱まる。ウィラード達は、力を失い、君達の星は元の世界に戻る。この任務は君達の力にかかっているんだよ」

寅次郎博士は、猫達を真っ直ぐ見つめました。

「風天さん、私は一体何をすればいい?」

門田さんは、色々と変更になったミッションに、自分は、どうして良いのか戸惑っていました。昔、立てたハードな計画を実行するには、もう、体力も気力もありません…。

老化が進み深い皺を刻んだ、ホログラムボディを繁々と見つめていました…。

「心配しなくていいよ、門田さんには…」

(つづく)

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

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