星を繋ぐ猫達《第5章 門田さんの不思議な畑》
行楽日和ですね。
つい先日、木村秋則さんの農園のリンゴ[ハックナイン]と[ジョナゴールド]を購入しました。とても貴重なリンゴを、奇跡的に取り扱っているお店へ、入荷の知らせと同時に行ってきました。ハックナインは、スッキリしていて実が締まっていて、とても、とても美味しかったです密度が違います。
ジョナゴールドは、数日後のお楽しみ。
では、物語の続きをお楽しみ下さい。
作品画像は、猫庭博士をす。可愛らしいお顔をしていますが、人間年齢は還暦あたりの設定になっています。
《第5章 門田さんの不思議な畑》
「門田さんは、今までと変わらず、私と一緒に農作物でも作って地味に広めればいいさ…確か、あなたのやり方は、私達と同じな筈だよ。ミッションは既に実行されている。もっと輪を広げるんだ」
「はは、私も覚醒せずにミッションを実行していたかぁ…みちたろさと同じ道を辿っていたか」
寅次郎博士は、ニヤリとしながら、門田さんとハイタッチをします。
「思い出したよ。私のミッションは晩年に畑をやる事だった…。今の私の畑は、余計なもんは使っちゃいねぇ。種も固定種の自家採種さ!当時、出発前に立てたイクサフィーゴ捜索計画、あの頃、予定通り覚醒して、実行してたなら、全く見つからなかっただろうな…。だってよ、その頃、彼等は、まだ地球に来ていないんだからな」
門田さんの作る野菜は、村里の販売所で一番人気、野菜嫌いな子どもが「門田さんちの野菜だけは食べられる」と喜んでいる程の美味しさなのです。
そして、村では、不思議な畑だと噂されているのです。
「…いつのまにか、この国の作物は大量生産の生きる屍のようになってしまった…。外国じゃあ、日本の野菜は、とても販売出来ない位の農薬レベルさ…。利益優先を追い求めた結果…自分達の命を削っている事に気がつかないのさぁ…」
門田さんは、悲しげです。
「門田さん、私は、猫庭と言います。ヒノモトの野菜を調査させて頂きましたが、作物達は小さなエネルギーしか発せない程、弱々しくて悲しんでいました…虫達が、教えてくれました…」
植物研究の猫庭博士が、大きな瞳をうるませて、門田さんの側にやってきました。
「おぉ、分かってくれるか…!!」
「はい…」
「そうさぁ…野菜だけじゃない、人間が口にするもんのエネルギーの質は落ちてやがる…そんなもんばかりじゃ、エネルギー不足になっちまってまともに動けねぇさ…」
門田さんは、お茶をすすると窓の外に視線を投げました。窓から見える、木々の枯れ葉が小さな渦を巻いて舞っています。
「そのようですね…テラビトサンプル達のデータを取ってみましたが…ストーンブロックの影響で、味覚麻痺がおきていますし、脳神経の誤作動が目立ちます…若いうちから、なんらかの病に陥る個体も多く見受けられました。それに対して彼等は、何も疑問すら思っていませんでした…」
猫沢さんが、サンプル1号の立体スキャン映像を投影しました。同時に自律神経が狂っていると思われる動作の映像が流れます。
「おいおい、この人大丈夫なのかね?顔色悪いなぁ…まだ若いのにかわいそうに…まるで、燃費の悪い壊れた車だなぁ…」
門田さんは、苦笑いしています。
「車?」
「あぁ、車だ。食べ物をガソリンに例えるとしよう。同じ年式、同じ型の車がある。走行距離も同じだ。一方は、いわゆる普通のガソリンスタンドで入れ、もう一方は、どこの何かも分からぬ無印のスタンドで超格安のガソリンを入れ続けた。前者は、さほど問題なく走り続け、後者は、何故か、不具合も多く故障もしやすい…修理費も嵩み、とうとう買い換えたんだ。前者は、後者が、早々に3台目を買う頃に、ようやく2台目を購入を考え始めていた。使った金額は大差がないはずはない、後者の方が出費は大きい…」
「普通のガソリンと格安のガソリンの違いは?」
寅次郎博士が、野菜チップに手を伸ばしつつ問うと、
「質だよ。前者のガソリンは、適性な質で、順調に車が走るように作られているが、後者の格安ものは、余り物みたいな物を混ぜて作ったものが多い…質が悪いから、部品達にも負担がかかる。負担がかかった所から不具合が出てくる。人間に例えてごらん…」
門田さんは、話終えると、蕎麦チップをポリポリと食べました。
「…なるほどね。面白い例えだ。君達は解ったかい?」
寅次郎博士は、猫達に問いかけました。
「クルマと言うのは、化石の油で動く、乗り物の事ですね。後者と言うのは、低い周波数の食べ物で、体を作り動かしているテラビト達を引っ掻けたのですね。確かに周波数が低い物を口にすれば、テラビト達の周波数は一気にダウンし異常が起きます」
猫沢さんは、するりと答えました。続けるように猫庭博士が話します。
「この村は、私達の星の[深き森]そのもの…ここのテラビト達の周波数レベルは、街のテラビトの数倍です。あなた方が伝えようとしているのは……」
猫庭博士は、ぶわっと大粒の涙が溢れ、顔をハンカチでおおいました。
「そうだよ。食い物の力と言うのは、それくらい重要なんだよ…」
門田さんは、優しく猫庭博士の頭を撫でました。門田さんも、普段、街のマルシェや道の駅で野菜を買いに来る人に、このような話しても、なかなか理解を示してくれなくて、寂しい思いをしていましたので、とても嬉しかったのです。
「カルカナル達は、人間達を、一定の思考ブロックで見えない檻に閉じ込め、歪ませたエネルギーを食糧として生きている…その為に造られた物質達で、溢れ返っているんだ…それを破壊しようとする私達は、彼等にとって、悪魔の化身にしか見えないだろう…」
寅次郎博士は、手のひらに現れた水晶玉のような物体から、飛び出した黒羽黒衣の天使の幻影を眺めていました。猫達も、天使の動きに合わせて一斉に視線を追います。
門田さんは、その可愛らしい姿に、すっかり和んでいました。
「だが、このままにしておいては、磁場の影響を受けて、還るべき場所(星)を忘れてしまった者達や、遭難してしまった者達を救えないんだよ…彼等は、カルカナルの虜になり、いつまでも地球で生き続ける…このままでは彼等の思う壺さ…他の宇宙の周波数帯に影響が及んでしまう…だかね…、そんな、危険をおかしてまでも来たいと願う程、魅力的な星なのさ…地球(ここ)は…」
寅次郎博士は、謎めいた笑みをうかべながら話しています。
猫達は、キョトンとして、こんな逆さまなカルカナル世界を、魅力的だと言う寅次郎博士に、イマイチ共感できないのでした…。
「チャット君と言ったね。ビラーゴは、君の事を、とても優秀な猫と言っていたよ」
寅次郎博士は、優しい眼差しで、チャット博士を見つめました。
「ビラーゴが…嬉しいです。彼は、私の一番の友人です。彼が、カンタスラーナを離れる前日、不思議な事を言っていたのを思い出しました…」
「ほう、なんて言っていたんだい?」
(つづく)
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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