星を繋ぐ猫達 《第5章 イクサフィーゴのシヴァ》
すっかり冬ですね。寒いです。
体調管理が難しい季節、皆さまも、気をつけてお置いたください。
画像は、2014年個展作品[チャット博士]です。彼は、個展でお世話になっている、高円寺の猫の額さんの看板猫のチャット君がモデルです。
では、お楽しみください。
《第5章 イクサフィーゴのシヴァ》
チャット博士が、前日に交わした会話とは?
「彼は私に言ったのです。「目の前に現れる現象に惑わされず、冷静に進みなさい。今こそ彼を起こしなさい」と、その翌日、私達の星は大変な事になっていました…」
そう、猫の星のエネルギー供給が途絶えた、あの日…
「彼とは?」
「旧式イクサフィーゴ…初代のシヴァです。今、彼は、停止してしまった中央イクサフィーゴの代わりを務めています。テラから戻ってきた、スティードと共に、星のエネルギーを作っています。」
スティードとは、猫沢さんが、地球から持ち帰ったミニイクサフィーゴです。
「初代?」
寅次郎博士は、キョトンとしています。
「はい、あの時、虎之助博士が設置していったイクサフィーゴは、20年前に引退し、時折、猫達のいこいの広場でマルシェやお祭り用の小さなエネルギーを供給していましたが、あの日を境に完全に再稼動しました…」
「中央イクサフィーゴと言うのは…??」
「2代目シヴァです。私達一族が、初代の細胞を培養し育てました」
なんと、あの巨大なイクサフィーゴは、猫達が造り出した物だったのです。
「ク、クローンなのか!?なんてことだ…謎が解けた!歪みの原因は、これだったのか…」
寅次郎博士は、ハッとした表情で猫達を見つめます。
「どういう事ですか?」
「君達は、初代シヴァを休ませてしまっていたんだね…」
「はい…外壁や機器類に、かなり老朽化が進み、猫達の人口も増え、多くのエネルギーが必要になったので、もっと大きなイクサフィーゴを創ったのです」
猫達の選択肢、これは、寅次郎博士も計算外の出来事だったのかもしれません…。
「私は、初代シヴァの中に、時空間時計(スペースタイムクロック)が設置しておいたんだよ…そうか、止まっていたんだな…」
「え?」
猫達はびっくりです。そんな仕掛けがされていたなんて、全く知らないのですから…
「そう言えば頻繁にビラーゴは、言っていました。「早く彼を起こしなさい」と…私は、皆に伝えたのですが…当時、子供だった私の言葉は、ただの戯れ言だと思われ、誰も聞いてくれなかったのです…私がイクサフィーゴと会話出来る事を知っていた猫達は、ほんの少しでしたから…」
「なるほど…」
「寅次郎博士…初代シヴァも、こちらに来る予定だったんでしょうか?」
「いや…4体だけだ。シヴァは、カルカナル磁場の防御担当だ…猫達を守ると約束した…」
「チャット君…2代目シヴァとはコミュニケーションは取れていたのかい?」
「いいえ…彼と話した事はありません…でも初代シヴァとは少しだけ…」
「ほう…」
「…2代目が設置された頃だったと思います。式典の時、初めて対面しました…初代は「猫達は、再び同じ道を歩み始めてしまった…」と、それだけ発して、後は一言も話さなかったのです…私は帰宅後、ビラーゴに、その言葉の意味を訪ねましたが「いずれ分かる時がくる…」と…」
チャット博士は、やや沈んだ表情で、寅次郎博士を見つめました。
「2代目シヴァが設置されたのは…テラ時間で20年前、ちょうど、ジャッコ博士が、テラ任務中で不在と聞いています」
猫沢さんは、20年前の式典を思い出していました。彼も出席していたのです。
「20年前…ジャッコ博士と出会った頃だ…しかし、私は記憶を取り戻す事は出来なかった…戻せなかった…?いや、戻させなかった?」
寅次郎博士は、一瞬の混乱の表情を見せましたが、すぐに冷静さを取り戻し、猫達の不安そうな顔を見つめます。
「寅次郎博士…私達は、大きな過ちを犯してしまったのですか?クローンを作った私達の選択は間違っていたのですか?」
「過ちではない、君達の集合意識が選択したんだ。最終試験と言っただろう?2代目シヴァは無垢な赤ん坊のようなものだ。カルカナルに対する恐れや知識はない…」
「……」
「ちょっと寄り道程度のアクシデントだ。今、初代シヴァが、動いているなら心配はいらない。 彼が温存していたエネルギーが、星全体を覆えば、再び、元の状態に戻る事は可能だ。チャット君、教えてくれてありがとう」
寅次郎博士は、チャット博士の肉球を優しく握りました。時空間時計(スペースタイムクロック)が、細切れで動いて、ようやく、たどり着いた時間は20年と言う、長い年月を要してしまった事はともかく、今、再び猫達と出会えた事に感謝しているのでした。。
「いえ…私は…」
チャット博士は、もじもじとしながら、うつむきました。
「2代目シヴァは、カルカナルに乗っ取られている。これ以上、地球人達の歪んだエネルギーが、彼に注ぎ込まれたら暴走してしまうかもしれない…早く手を打たなくては…」
寅次郎博士は、ようやく時空の歪みの原因が分かり、ホッとしたのか、次の作戦を考え始めました。
「あの、寅次郎博士、ちょっとよろしいですか?」
宇宙船の整備士であり特殊捜査官の、猫谷エンジニアが、手を挙げました。
「はい」
「もう間もなく、カンタスカラーナの護衛艦が到着します」
「なんと!」
「覚醒した、あなた方を狙う者達が現れると思いまして、私が呼んだのです」
「!!!」
寅次郎博士は、猫達の用意周到さに、目をぱちくりさせました。
[つづく]
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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