星を繋ぐ猫達 《第8章⑲ 宇宙蕎麦》

更新してない間、私の住む地域では、水が断たれてしまい、大変な状況に見舞われました。

水の大切さを、改めて感じました。

では、続きをお楽しみください。

画像は、個展作品「魔猫島」全体図です。お気に入りです。ポストカードは、猫の額さんにて、好評発売中です。

右下にいるのは、カルカナルと戦った英雄ケイオス‐ハーオスです

(現在の地球猫、アルハンゲルの、猫の星時代の姿)

《第8章⑲ 宇宙蕎麦》

神楽屋の個室では、千寿氏達が、舌鼓を打っていました。

「本当に不思議だ…蕎麦を食っただけで、頭の中に宇宙が拡がる…なぜだろう…?」

調査隊メンバー達は、拡がる宇宙空間を、思い浮かべながら、蕎麦を黙々とすすります。

ふすまが、開きますと、作業着姿の寅次郎博士が、現れました。

「!?」

千寿氏は、目をパチクリさせています。

「当店自慢の蕎麦の、お味は、いかがでしたか?」

寅次郎博士は、ニコニコしながら、デザートを運んできたのです。

「たいへん美味しかったです!」

調査隊達の表情は、満足げです。

「それは良かった、こちらは、村で採れた、栗の渋皮煮と羊羮です」

「あなたは?」

「私は、ここで雇われています、蕎麦職人です」

「あ、あの蕎麦は、あなたが作られたんですか?」

調査隊達は、蕎麦を作った本人に会えた事に、大喜びです。

「はい」

千寿氏は、寅次郎博士の事を、村の診療所の医師だと思っていたものですから…もうひとつの顔を見て、驚いているのです。

「では、ごゆっくりしてってください。失礼いたします」

寅次郎博士は、一礼すると退室していきました。

[橋渡しの民]として、偵察に来たのです。最初は千寿氏に「一緒に夕食を…」と、誘われていたのですが、うっかり、今後の計画を、口滑らせてしまいそうな、おっちょこちょいな自分に、ストップをかけていたのです。

あくまでも、今は[村人A]なのですから…

事の成り行きを、全て村長に託してあるのです。

「寅ちゃんも、千寿さん達と一緒に、メシ食ってけば良いのに?」

店主の火水斗が、言葉をかけます。

「いやいや、今後の事を考えると、仲良くしすぎてしまうのは、あまり良くないだろ。村人達の目もある」

神楽屋の、まかないテーブルに座る寅次郎博士を、他の従業員達が、珍しいものを見るような目で見ています。 

いつもは、診療所兼、製麺所である自宅で、猫達と一緒に食事をする寅次郎博士…

実に、久しぶりの、店での、まかないなのです。

食べ終わると、帰り支度をする、寅次郎博士に、火水斗は、

「寅ちゃんも、たまには、こっちで一緒に食べなよ」

「そうだな…そうさせてもらうよ」

「あ、そうそう、これ、今日、お客さんからの礼状に、こんなのが入ってたんだ、多分、じぃさんの関係だと思う。なんて書いてあるんだ?」

渡された一筆箋には、宇宙言語らしき文字が、書かれていました。

「珍しいな、これは…応答のサインだ。嬉しいね」

「応答?」

「ああ、今、ここでは詳しく話せないが、追々教えるよ」

博士は、微笑みながら、店を後にしました。

寅次郎博士の打つ蕎麦には、一体、どんな秘密が隠されているのか…?

神城村の名物、通称[宇宙蕎麦] 

遠路はるばる、食べにやってくる人々は数知れず。

先代の神楽未知太郎、亡き後、二代目を受け継いだ、風天寅次郎(かざまとらじろう)

多くの謎に包まれた[橋渡しの民]

彼等の任務は、水面下で静かに動いています。

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)    


個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

0コメント

  • 1000 / 1000