星を繋ぐ猫達 《第8章25 宴 》
暑い日が続きますね。つい先日、岐阜は40度を越え、現在も通常気温が30度を軽く越える毎日です。
画像は、昨年の熊本のイベントで出展した。招き猫作品です。40センチの大きな招き猫作品は、高円寺、猫の額さんにて御覧いただけます。(他、ポストカードやミニ招き猫作品も、絶賛委託販売中ですよ)
では、物語の続きをお楽しみください。
《第8章25 宴》
いよいよ、宴が始まろうとしています。
神楽屋の2階広間は、賑やか、送別会場に、村長達が、挨拶にと駆けつけています。
村長の隣には、松方さんの姿が…
「松方さん、大丈夫だよ。こわがりなさんな」
隣の席で、小さくなる松方さんは、心なしか震えています。
村長が、立ち上がろうとした横を駆け抜け、突然、松方さんが、広間の中央に躍り出たかと思うと、土下座をしたのです。
「す、すまなんだ!本当に申し訳なかったぁっっ!!」
いかつい顔を真っ赤にし、ポロポロと涙が伝います。会場は、騒然となりました。センジュ族長が、長い手足を器用にたたみ、スッと平行移動して、松方さんの前にチョコンと座りました。
「松方さん、顔をおあげなさい」
優しい声をかけます。
「わ、私の先祖達が、あんた方を陥れてしまった…あんた方は、悪くなかった…あの時、先祖が、頻繁にここを訪れなければ…ひどい目にあわせる事は、なかった…本当にすまなんだ…」
松方さんは、顔を下げたまま…
「あなたの先祖が、住んで居たのは、戦に負けた兵士達の隠れ里でしたね…命からがら戦場から逃げ、飢餓状態であった事、戦で沢山の人々を殺めてきたのを知っていましたよ。辛かったろうに…」
「な、なぜ…ご存じなんですか?」
「我々は、千里眼と言う力で、あなた方の素性は視えていたんです。ですから、あの山を、地球人であるあなた方に、返そうと、星へ還る矢先の出来事でした…」
「え?」
「あなた方に、生き延びて頂きたかったのです」
族長は、やさしい声は、静かに響きます。
村長は、すっと目を閉じて、うなずきました。
「松方さん、あなたは、初代の方に、よう似ておられる。会えて良かった。いつも、私の好物をありがとう…」
松方さんは、言い伝えを、しっかり、守っていたのです。鬼を封じると同時に鎮める為に、毎年、祭りの時期になると、栗羊羮とお酒を、こっそり、蔵の前に、お供えしていました。本当の理由なんて知りません。
「わ、私は、ただ、あなた方が恐ろしくて…その、言い伝え通りにしてきただけです…それに…それに…」
族長は、言葉の先を止め、微笑むと、松方さんの手を握りました。
そして、再び平行移動し、村長達を前にして、深くお辞儀をしました。村長の横には、後から入ってきた、千寿氏、橋渡しメンバー、調査隊、神楽屋スタッフ一同と、猫達が、ずらりと座っています。
寅次郎博士と猫谷エンジニアが、1歩前に出ると、
「センジュ族長…いえ、センジュ船長。帰還への道程、大変お待たせしました。任務お疲れ様です」
二人は、敬礼します。
「至れり尽くせりの、もてなし感謝いたします」
センジュ族長を始め、カミシロ族達全員、深く深くお辞儀をしました。
「明日の明朝に、マゼラン直通ワームホールが開通します。それまで、ゆっくりお過ごしください。これは、クリエネルの繊維で作ったマントです。ワームホール移動中に急激に環境が変わりますので、着用してください」
猫谷エンジニアが、猫の星から急遽、取り寄せたマントは、猫達が着ているシールドスーツの生地と同じ、あらゆる環境変化に耐える事が、出来ます。
「ほう、これは見事な繊維、かたじけのうございます」
不思議な素材で出来た、キラキラと輝くマントに、みな、大喜びです。一着一着、猫達によって、手渡されていきます。
次に、寅次郎博士が、ポケットから未知太郎(カミオン)からの伝言メモを、取り出しました。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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