星を繋ぐ猫達 《第9章⑧ ナタトリアとプラナダ》
日に日に気温が下がっていきますね。最近、生姜入りの味噌汁に、はまっています。
画像は、カンタスカラーナのイクサフィーゴです。初期の頃に描いた、猫沢さん、とても凛々しいですね。現在の2代目イクサフィーゴ、シヴァは、カルカナルにより、力を封じられた状態であり、猫の星の危機を表しています。
2枚目は、初代イクサフィーゴ、シヴァと開発者、猫居虎之助博士(現在の寅次郎博士)
では、続きをお楽しみください。
《第9章⑧ ナタトリアとプラナダ》
帰路に向かうニャンタープライズ号
猫沢さんは、猫谷エンジニアに、問いかけます。
「何故、分かったんだ?」
「到着して、すぐに自己紹介してたろ?あの時の寅次郎博士とナタトリア達の間の空気が、歪んでいたんだよ。コネコピアの時は、まっすぐ澄んでいたが、寅次郎博士が、プラナダと言った瞬間に、亀裂が走ったんだよ。危ないと思ってな…博士の周りに部下を配置したんだ…」
「あの時、彼を若返らせて、どうするつもりだったんだ?」
「博士は、ああ見えて男前だ。ミスマが気に入ったんだろ?それに、当時の記憶も曖昧だし、能力も長けている。うまい事そそのかして、グランティオス建て直しの仲間に引き入れたかったんだろな」
「しかし、今、グランティオス建て直しの計画に組み込まれては[橋渡しの民]の任務が出来なくなる…」
「それじゃ、困ると思わないか?過去の亡霊に囚われて、未来を閉ざされるなんざ、馬鹿げてる」
猫谷エンジニアは、珈琲に似た飲み物、クロ・チャンを、飲みつつ、ツマミのナッツを口に放り込みます。
「最初の辺りの違和感は察する事は出来たが、彼等が、どう出るか分からなかった…。ともかく、ありがとう。私達は、ナタトリアの美しい建造物に目を奪わ過ぎて見逃すところだった…」
猫沢さんは、猫谷エンジニアに、深く礼をしました。猫の星での普段の彼は、船の整備士、時々、猫沢さんの研究音源発表会の、音響管理係を勤めていて、ほんわかしたイメージを持っていますが、いざと言う時、とても頼りになる存在です。
「伊達に、星のお巡りさんやってる訳じゃない。あんな事は、朝飯前だよ」
猫谷エンジニアは、笑いました。
「ところで、ナタトリアにいたイクサフィーゴ達の中に、彼は居なかったな…?」
猫沢さんは、あの時、猫の星から、やって来たイクサフィーゴを、必死で探したのです。ですが、それらしき姿は見当たりませんでした。
姿形は、似ているのですが、寅次郎博士が、連れてきたイクサフィーゴは、異なる周波数を放ち、筋肉質です。
ナタトリアのイクサフィーゴ達は、優雅に泳ぐ、金の錦鯉のような、しなやかな姿をし、極め細かな周波数を放っていました…
「いなかったな…」
二人は、深いため息をつきました…。
「彼等は、戦士だと言っていたな。私達は、単なる無機質な生物だと思っていた…彼等は、私達に無償のエネルギーを与えてくれていたのだな…」
猫谷エンジニアは、そう言うと、少し離れた窓際で佇む、寅次郎博士に目をやると、通り越して、虚空を見上げ、遥か遠くの故郷星で、カルカナルから、猫達を護る姿を思い出していました。
二人は、思わず…
「あぁ…目から、塩水が…」
こんな時、猫庭博士なら、バスタオルで、顔を覆っている事でしょう…。
「だが、彼等と遭遇した事は、全く無駄じゃない、貴重なテラのコアとコンタクトが取れた。そして、俺達の星との繋がりの謎が見えてきた。気を取り直して、イクサフィーゴを探そう…」
「あぁ…」
二人は、そっと、お互いの自室に戻りました。
その頃、猫庭博士は、自室で、バスタオルで顔をおおっていました。
隣には、猫沢さんの助手のロボット猫、Σー41の姿が…
「よっちゃん…せっかく廻り会えたのに、こんな別れ、悲しいですね…」
「悲しくはありませんよ。再び、手を取り合う未来への道が、開かれたのですよ」
Σは、優しく、猫庭博士をなだめました。Σは、人工知能を搭載しプログラミングされた存在ではありますが、彼を、開発した猫居博士は、カンタスカラーナの知識の他に、移住以前の記録、はたまた、遥か遠くの猫達の歴史を、遺伝子のようにプログラミングしている為、あらゆる物事に対して、冷静に見つめ分析する事が、出来るのです。
猫沢さん達の、質問や疑問に即座に答えられるように、作られているのです。
「大丈夫です。遥か遠くの私達の故郷からのメッセージを、受け取る事が出来たのですから…」
「ですが、テラビト達は、閉ざしたままです。あのメッセージを受け取ったテラビト達は、いるのでしょうか…?」
Σは、少々困った顔をして…
「…いるには、いるのですよ。かなりの人数が確認されているのですが、メッセージを受け取り、価値観がガラリと変わってしまったテラビト達が、堂々と表立って生きていく事は、難しいのですよ…。幼き心のテラビト達の奇異の視線や言動に堪えられず、心閉ざしてしまうと言うデータが、出ているのです…」
「そうなんですか!!」
再び、猫庭博士の目に、大粒の涙が溢れました。
古代文明グランティオス王国…鍵を握る寅次郎博士、イクサフィーゴの謎、共通の故郷リラ…
数々の謎を秘め、船は、間もなく、寅次郎博士の自宅に、到着します。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)
0コメント