大肉球曼荼羅 《第1章⑦ マンタの森》

お久しぶりの更新です。
 
そして、6月に東京、高円寺「猫の額」さんにて開催される二人展に向け、作品制作中です。ご一緒してくださる作家さんは、木元慶子さん、素敵な猫作品を描かれる方です。
二人の世界が混ざり合う、初めての試み、お楽しみに!
 
画像は、昨年の個展の作品 マンタに導かれ、森の長へ向かう猫沢さん達です。
画材、水性顔彩絵具、色鉛筆、コピック
 
《大肉球曼荼羅    第1章⑦ マンタの森》
 
早朝の深き森は、彼らを、やさしく包み込み、キラキラした朝日が差し込みます。
少しばかり険しい山道を、進んでいく3人、猫庭博士は、ヒョイヒョイと足取り軽く進んでは、後に続く猫沢兄弟を気遣いつつ、歩幅を合わせます。
 
猫庭博士は、猫沢さん達(地球人年齢で65歳前後に相当)と、ほとんど年齢は変わらないのですが、通常の猫達と比べ、若々しい顔立ちです。
猫生の大半を、この深き森で過ごし、幼少期、化学物質汚染した街から遠退いていた結果…彼の体内酸化の速度を遅らせていたのでは…?と、言われていますが、真相は謎に包まれています。
 
木々の間を抜けると、虹色の湖が広がり、沢山の水陸両用のマンタ達が、飛んでいます。
 
「こりゃまた、沢山いるな」
 
風さんが、初めて見る光景に、目を輝かせます。
 
「まるで楽園のようだ…カンタスカラーナにも、こんな素晴らしい場所があったのか…?」
 
都市区で育った猫沢さんは、思わず駆け出し、湖に向かおうとすると、猫庭博士は、ソッと引き止め
 
「私の側から離れないで、この場所は、ごく一部の猫達しか知らない秘境のほんの一角、この深き森全体は、星の大気や水を生み出し、絶えず活動している、いわば星の循環機能、マンタ達を始め、ここにいる全ての生き物達が絶えず森を…いえ、星を守っています」
 
「私達のような移住生物達をも受け入れ、共存共栄してくれているのか…テラもそうであるように、ここも…」
 
「そう、共に生きているのです…さぁ、長(おさ)の元へ行きましょう」
 
そう言って猫庭博士は、マンタの頭(かしら)に、到着の合図を送ると、
湖の真ん中が大きく盛り上がり、一際大きな真っ白なマンタが現れました。
 
「お頭様、お久しぶりです!」
 
猫庭博士は、ニッコリ微笑むと、お頭が、大きな翼のようなヒレをユックリ広げ、歓迎します。
 
(よく来なさった、長が待っている)
 
猫達を乗せるマンタ3匹が、彼等の前に飛んできました。
 
「今日1日、お世話になります」
 
猫庭博士達は、深々とお辞儀をし、乗り込みます。
 
「どうやって乗るんかの??」
 
風さんが、眉毛をへの字にしています。
弾力あるゴムのような背中には、掴まるものがありません…
 
「そのまま乗ってみてください、表面を変型させ私達の体を固定してくれますから大丈夫です」
 
風さんが、恐る恐る背中によじ登ると、言葉通り、シートベルトのような形がニョキッと生え、捕まり棒が生えてきました。
 
マンタ達は、彼等を乗せ、いよいよ出発
 
普通の猫達が、滅多に訪れる事のできない神聖な場所…
マンタ達は、森全体を見せようと上空高く舞い上がります。
猫沢さんは、フルフルと腰は引け、毛は逆立ち尻尾はモワモワ
 
「空(くう)大丈夫か?」
 
インカムから、高所恐怖症の弟を心配する兄の声が聞こえます。
 
「だ、大丈夫……」
 
それを聞いたマンタは、即座に、猫沢さんの体全身を包み込みました。
 
美しく広がる緑の大地、猫の星は、少し地球と似ています。
寅次郎博士が言うには、カンタスカラーナと地球は、集合意識体が創り出した多次元宇宙の中にある、一つの「世界」であり、同時に、ある目的を成し遂げる為に生み出した星、比較的、意識レベルが近く、星と星の周波数を相互させ奏でている双子の星なのだと…
 
…そう、繋がっているのです。
 
改めて知る、カンタスカラーナの姿、猫沢さんは、長きに渡るテラ調査で、宙に浮いていた意識が母星の意識とリンクし大きな安心感が、一気に包み込み、先程の震えも治まりました。
 
深き森の面積は星の約半分、この広大な緑を、猫達は、移住以来、無闇に立ち入らず神聖な場所として、長きに渡り共存してきたのです。あの、カルカナルすらも…
 
地球は?と言うと…?
大きな分岐点に差し掛かっている…
それしか、分かりません。
 
[つづく]
 
 
  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
2020年6月、今回は、ご縁をいただきまして、木元慶子さんとご一緒させていただいての、初の二人展です。
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ

東京 高円寺 猫雑貨&ぎゃらりー猫の額さんで、展開している。オリジナルSF猫物語を更新しています。

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